三星(サムスン)のイ・スンヨプ(25)をめぐり「栄養価論争」が起きている。
これは、最近キム・ウンニョン監督が「ホームランの数だけが多い。勝負が決まった後に打ったホームランが殆どだ」と不満を表したことに端を発する。キム監督は普段から「イ・スンヨプはチャンスを物にできない」と話してきた。チームにとって最も喜ばれるバッターとは、決定的な状況で一発でチームの勝利を導く「クラッチヒッター」。キム監督曰く、イ・スンヨプはホームランの数は多いが、チームにとって「栄養価」のあるバッターではない。
では果たして、イ・スンヨプは本当にチャンスに弱いのだろうか。これを分析するために、31本でホームラン共同首位のロッテのホセと比べてみた。
▽走者の状況別打撃=イ・スンヨプは、走者のいない時は代率0.282に19ホームラン、走者のいる時は打率0.290に12ホームラン。走者がいる時といない時の打率が殆ど同じだ。ただし、ホームランはソロホームランが多い。ロッテのホセは、走者がいる時の方がはるかにヒットが多い。打率が4割台(0.395)に近く、ホームランも走者がいない時よりいる時の方が4本も多く、チャンスに非常に強いバッターであることを証明している。
走者が2塁以上の時の打撃力を判断する得点圏打撃では、イ・スンヨプが打率0.270に5ホームランなのに比べ、ホセは打率0.402に11ホームランも記録している。イ.スンヨプは、走者が3塁にいるときの打撃が振るわず3塁走者をホームに送り込む打撃に欠ける。
▽個人打撃記録の分析=イ・スンヨプは今季、犠牲フライがただのひとつも無い。これは上で指摘した通り、走者が3塁の時の打撃成績が特に振るわないこと一脈相通じる。
イ・スンヨプはまた、三振が108個と1ゲーム当たり1個以上で、四死球は77個とホセ(100個)に比べ相対的に少ない。これはイ・スンヨプが我慢強くないことを示している。ホセが相手投手の球がよくない時そのまま1塁に進むのに対し、イ・スンヨプは悪い球に手を出す傾向があるのだ。
走者状況別打撃とシーズン記録を総合して見ると、イ・スンヨプはキム・ウンニョン監督の言う通り、チームの中心打者にしてはチャンスにそれほど強くないことが分かる。また、ホームランも走者がいない時に多い。しかし、これはホセと比べて相対的にチャンスに弱いという意味だ。走者がいる時の打率が0.290に達するなら、決して「栄養価の無い」バッターとは言えないという結論が出る。
「栄養価論争」について、イ・スンヨプ自身は「チャンスを活かしたくないバッターはいない。今年は特に相手投手の誘いの球に騙されてばかりいたせいでそんなことを言われているようだ」と話した。
金相洙 ssoo@donga.com