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[オピニオン]「企業構造調整法」を生かすには

[オピニオン]「企業構造調整法」を生かすには

Posted August. 28, 2001 09:39,   

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資本主義経済のパラドックス的な作動原理では、経営が行き詰まれば倒産するという市場ルールが守られない限り倒産を減らすことはできない。資本主義とキリスト教の発祥地である西洋には「倒産のない資本主義は地獄のないキリスト教の如し」という言葉さえある。それ故、不良企業を処理する倒産制度は、健全な資本主義経済を支える中核的なインフラと見なされる。

韓国の場合、効果的な倒産制度の必要性が比較的低かった高度成長期の終わりと共に経済危機が瞬時に襲ってきた。多くの不良企業を迅速に処理する必要が生じたが、不幸なことに、破産、生産、和議、法廷管理(日本の会社更生法に当たる)など一連の倒産関連法制度は極めて不備だった。倒産関連法の枠の外で企業の構造調整を行う私的企業改善事業(ワークアウト)を試みたこともあるが、殆ど失敗した。その結果、すでに140兆ウォンの公的資金を投入していて、「IMF卒業」などと言われているが、本格的な企業の構造調整はやっと始まったに過ぎない。

このような背景から生まれたのが、7月に国会で可決した9月から施行予定の企業構造調整促進法(以下促進法)だ。会社整理法(以下整理法)では通常、すでに不渡りを出している企業を裁判所の判断の下、法廷管理する。しかし促進法では、行き詰まりの兆候が見られる大企業を債権団の判断の下に共同管理する。行き詰まりの兆候があるが正常化の可能性のある企業に対して、債権金融機関が満期延長、元利金の帳消し、出資転換、新規資金の供与などの支援を行う条件で企業が厳しい構造調整を進めるという、いわゆる共同管理の手続きを法制化したのが、この法の骨格だ。

この法の施行の成否は、韓国経済の最大懸案である企業構造調整の成否に多大な影響を与えるものと見られる。しかし、論争の末4年間という限定付きで生まれたという事実から類推できる通り、この法の施行には様々な難関が予想される。促進法施行の過程で予想される問題の中心は、やはり、不良企業を処理する全ての倒産制度が直面する「ただ乗り」問題だ。

一部の債権者が試みるただ乗りには、2つの種類がある。ひとつは、多数の債権者の競争的な債権行使による企業価値の破壊を防止するために取る債権凍結に参加しまいとするもので、もうひとつは、部分的な犠牲が避けられない共同管理に参加しないことによって相対的な利得を得ようとするものだ。裁判所の判断の下に不良企業を整理する整理法では、裁判所が全ての債権を凍結し、多数の債権者が同意した整理計画に反対した少数の債権者も、多数意見に従わなければならないという多数決の原理を採択することで、ただ乗りの余地を根源から封じこめている。

しかし、債権金融機関の判断の下に行き詰まりの兆候が見られる企業を正常化する促進法では、債権団の75%の賛成で債権行使の猶予を決定する。ただし、メインバンクが債権金融機関に会議の召集を通知した日から1回目の会議が召集される日までの約一週間は、窮余の一策として金融監督院長が債権行使猶予を要請できるようになっている。また、債権行使猶予を含む共同管理に反対した25%以下の小口債権者の債券は、共同管理に賛成した多数の債権者が買い入れられるように規定している。ただし、買い入れ価格および条件に合意が見られない場合は、専門家7人からなるいわゆる調整委員会がそれを決定することになっている。

整理法による法廷管理に比べ、促進法による債権団の自律的共同管理は、柔軟かつ迅速で、不良債権処理の費用を抑えられるというメリットがある。一方、債権金融機関のただ乗り問題の解決がより困難だというデメリットもある。資本主義経済でただ乗りを非難することはできない。しかし、一部のただ乗りが債権団全体の共同の利益を妨げることは、回り回って、ただ乗りを試みる債権者にも損になりかねない。したがって、ただ乗りを自ら自制するように促す環境作りが非常に重要となる。その環境の核となるのは、他でもなく信頼だ。

共同管理を主導するメインバンク、債権金融機関間の異見を調整する調整委員会、本然の業務ではないが時代的状況論理によって企業構造調整過程に参加せざるを得ない金融監督院、国有化された多数の銀行の大株主である政府、そして対象企業の利害関係者など企業構造調整の過程に中心的にかかわる関係者達の信頼ある判断と行動こそが、促進法による企業構造調整の成功の鍵となろう。

パク・サンヨン(延世大学教授、経営学)