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欧州12カ国のユーロ通貨、極秘輸送作戦

欧州12カ国のユーロ通貨、極秘輸送作戦

Posted August. 29, 2001 09:33,   

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最近フランスで人気を博しているクイズ番組には、ユーロ通貨の問題がよく登場する。コンピューターやテレビなどの家電製品や家具を見せて、ユーロ貨ではいくらか当ててもらい、もっとも近い数字を出した人にそれを賞品として与える番組だ。これはユーロ貨の計算と使用に慣れるよう手助けするためのものだ。

来年1月1日からのユーロ通貨の全面使用をひかえて、欧州中央銀行(ECB)は30日、ドイツ・フランクフルトでユーロ通貨の実物貨幣を初公開する。また、来月1日からは厳しいガードに守られて、ユーロ通貨が統一通貨参加12カ国の中央銀行に供給される予定だ。

▲ユーロ通貨輸送作戦=ECBは、来月1日から年末までにユーロ参加国の中央銀行に計6000億ものユーロ貨を供給する計画だ。これに備えて、参加各国の中央銀行は、造幣所で印刷したユーロ通貨を先週から秘密裏に貨幣保管所に移している。各国の造幣所と貨幣保管所がどこにあるのか、何ヵ所運営されているのかは極秘に付された。輸送は列車やトラックが利用されるがA万が一の事態に備えて数千台の装甲車まで動員される見通しだ。

フランスは22日から武装した軍隊と警察はもちろん、人工衛星まで使って、南東部の空軍・海軍基地など81カ所の保管所に、計3万2000万トンのユーロ通貨の硬貨(エッフェル塔の4倍の重さ)を移す秘密作戦に突入した。コルシカ島銀行への輸送には駆逐艦まで準備された。

600億ユーロが供給されるドイツは、秘密裏に中央銀行の各地域の倉庫などにユーロ貨をすでに移動させた。また、イタリアは5000人以上の警察力が動員された中、24日、25日の二日間にわたり、約72億ユーロ硬貨と24億ユーロ紙幣を全国15カ所の保管所に運んだ。来月1日から始まる銀行配分には、重武装した50台の列車と200台のトラックが動員される計画だ。来月3日にユーロ通貨の銀行配分を始めるオランダ、スペイン、ギリシャ、オーストリアなどもすでに万全の準備を整えている。

各国の金融機関は年末の12月15日〜31日に各国の卸・小売りの流通業界に供給する予定だ。

▲ユーロ通貨に対する広報=フランスの一般家庭に届けられる各種の請求書にはその間、ユーロとフランがともに表記されてきたが、次第にフラン貨の表記が減っている。国民に徐々にユーロ貨に適応させるために取られた措置だ。

ユーロ通貨参加国らは、ユーロ通貨の全面使用をひかえて、公益公告と案内書、インターネット、企業説明会などを通じてユーロ貨の広報に努めている。

欧州連合(EU)の執行委員会は、今月初めからユーロ広報センター(EIC)を稼動し、偽造通貨など万が一の場合にそなえて、識別法などを広報している。

▲ユーロの見通し=ユーロ通貨の小切手使用がスタートした7月の一カ月間、フランスでは総決済額のうち1.07%のみがユーロ貨の小切手だった。フランスの財務当局は、今夏には決済額の半分が、そして11月初めまでには70%がユーロ貨で決済されるだろうとの見通しを示したが。これに大きく下回った形となった。いまだにユーロ貨に対する認識が高くないという証拠でもある。

ユーロ通貨の流通は、ユーロ圏内でインフレを誘発するだろうとの懸念が高い。ユーロ通貨の両替費用と旧通貨と併用される期間にかかる追加費用などで、市場では商人たちが物価を引き上げるしかないという論理だ。自動現金預入引出機(ATM)と自動販売機はもちろん、駐車場のメータ機まで切り替えなければならないだけに、追加費用の発生は避けられないものと見られる。

偽造とマネーロンダリングも懸念される。これまでは米ドルの100ドルが黒いカネを隠す主な手段だったが、これよりも高額の500ユーロが新たな「ブラックマネー」として登場する可能性があるということだ。ユーロがEUの域内貿易を増進させ、両替費用を減らせば、ユーロ圏の経済成長に向けた牽引車の役割をするだろうとの前向きな見通しにもかかわらず、まだ期待よりは心配の方が多いのが現実だ。



朴濟均 phark@donga.com