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チャイナ・フィーバー、実は誇大包装

Posted September. 01, 2001 09:54,   

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2008年北京五輪招致、今秋のWTO加盟、米国の独走に歯止めをかけられる唯一の強国、年間平均8%台の高成長、2015年には米国と日本の経済力を凌ぐ、膨大な市場と資源…。いずれも今日の中国を表す表現である。中国ブームに沸返っている今日この頃だが、最近「中国見直し」を主張する本が出た。「中国は偽者だ」という本である。

15年間イギリスのBBC放送とガディアンの中国特派員を経て、現在は「サウスチャイナ・モーニングポスト(South China Morning Post)」の北京支局長を勤めるジャスパー・べッカー(Jasper Becker)によると、中国は最も傲慢で最も腐敗したごく少数の支配階層によって維持されている秘密の国に過ぎない。平等と正義、よりよい未来を約束した毛沢東、登小平、江沢民らは結局、中国国民たちの犠牲を強要し続け、国民たちは彼らの嘘に騙されてきたと主張している。

経済成長の神話と賛辞の中に隠された中国人たちの苦難と桎梏、さらに不平等と矛盾に満ちた中国流社会主義の弊害を告発すると同時に、中国に対する根拠なき賛辞と憧憬に警戒を示しているこの本は、中国をして恰も政治・安保・外交・経済問題を解決する唯一の出口であるかのごとく考えている韓国および韓国人にとって、「中国を見直すためのお手本」のような本といえる。

ニューヒーローこと中国に関する見方は二つに要約できる。先ず、米国に匹敵できるだけの経済・軍事・政治大国になるだろうという、いわゆる「中国脅威論」でありもう一つは、中国が取っている改革開放政策は、単に経済的近代化をなしとげようとする低開発国の積極的成長戦略の一環に過ぎないだけだという「紙の虎論」がそれ。

今後、中国が驚異的な経済成長をもとに、攻めの外交と安保戦略を一層強めることになるから警戒しなければならない、と唱えた多くの本との差別性は、まさに著者の中国社会に対する客観的な見方から知ることができる。改革開放のサクセスストーリーの裏に埋もれてしまった中国人たちの苦しみと中国という巨大な国の苦悩を、15年間の体験から鋭く暴いている作者は、中国の未来を、必ずしも楽観視しているわけではない。

かつて登小平は、改革開放に反対する保守派に対し「室内が暑ければ窓を開けるべきで、窓を開ければ涼しい風とともに害虫も入ってくる」という言葉で、改革開放政策を推し進めた。

ところが、先ず裕福になれという意味の「先富論」は黄金万能主義をもたらし、官僚の腐敗、環境汚染、少数民族紛争、個人間の所得格差と奇形的な地域発展などの問題に加えて「上有政策 下有対策:上が政策を出せば、下には逃げ延びる方策がある」といった法律軽視風潮は、地方政府の力を強め、中央政府の権力を衰えさせてしまった。

外国の資本と技術を誘致すると公言していた東南部の沿岸都市や経済特別区が、退廃的な都市に零落れてしまったことこそ、中国の実態を雄弁する赤裸々な風景画として描写される(117ページ)。ゴルフと海外旅行に出掛ける一方、自家用車を所有する中国人たちは、同じ中国の貴酬省に住む住民の年間平均所得が、韓国のウォンに換算してわずか42万ウォンに過ぎないという事実を知らない。

中国の子供たちを教える1400万人の教師にとって、一日一本以上のチョークを使うのは贅沢に値する。農村地域の無免許の医師たちは下痢の症状に麻酔剤を、疲労回復にはアミノ酸の静脈注射をうち、かぜにはホルモン剤を処方しているのが中国なのである。

毛沢東と登小平が恐れていた行き過ぎた西欧化は、もはや現実的な脅威として中国を脅かしている。1989年、天安門広場で起きた民主化運動の流血暴力鎮圧は政治的アキレス腱に変わり、中国の指導者たちは、党員の数を上回る法輪功信者の組織と力を恐れている。

中国流社会主義を主張する中国の指導者たちは、今になって、西側が非暴力的手段と方法で中国社会を転覆させているとしながら、反「和平演変:平和的なやり方で中国の変化を導く方式」の旗を掲げている。害虫として軽く見ていたものが、今では恐竜となって帰ってきたのである。

中国人と中国に投資している外国の企業は皆「コダック・シンドローム(Kodak Syndrome)」に浸っている。中国人の所得が増えれば、一本24枚撮りのフィルムを買っていた人々が36枚撮りのフィルムを買うはずだ、という単なる数値上の計算からくる幻想である。ちょうど1980年代、日本より後れて北京行きの汽車に乗り入れた米国の企業家が、中国人が一日にコカコーラを一本飲めば一日10億本の売上げ、という幻想を抱いていたことを想わせる。

中国が理解し難い国であることは、上海から北京まで行くのに30を超える料金所を通らなければならず、通行料金だけでもおよそ2000元ほどの金がかかることからも知ることができる。

年間平均の成長率が8%を超えるものの、中国の統計を信じる者はほとんどいない。朱鎔基首相も2%くらいは削らなければならないと言ったほど。中国の経済が成熟して、人治ではなく法治が根を下ろせば、中国の副作用と問題点は解決されるかもしれない。しかし、今のところはおぼろげな蜃気楼にすぎない。

「中国は偽者だ」

ジャスパー・べッカー著

イ・ウンソン訳、原題「The Chinese」(2000年)

クム・ヒヨン(ソウル市立大学国際関係学科教授、中国政治)