政府が来年からコメの増産奨励をあきらめることにした政策がやむを得ない選択だとしても、農家所得の減少や稲作の萎縮につながってはならない。
年末は国連食糧農業機関(FAO)が勧める適正在庫量(600万俵)を遥かに超える1000万俵ぐらいの在庫になるものと予想される。コメは有り余ってコメ市場のさらなる開放が差し迫っている時に、質中心の政策に切り替えたことは遅ればせの勘がある。
しかし、生産量削減という及び腰の対策に拘るのではなく、コメ消費を増やす需要面での政策を並行して進めなければならない。コメが有り余るようになった最も大きな理由は、青少年と若年層の食生活が西欧式に変わっているからだ。
その間、軍部隊と学校給食には2年以上経って品質が落ちたコメを使ってきた。このような低級米は思い切って加工用にあて、軍と学校にも質のいいコメを供給する必要がある。青少年と若者たちに質の悪いコメを食べさせた場合、それは次第にコメから遠ざからせるだけだ。
生徒たちがハンバーガー、ピザ、パンなどを好んで食べるほか、コメ価が高くて学校給食業者らがコメを忌避してしまう。政府が支援をしてでも学校給食のコメ消費を奨励しなければならない。米国では、自国の農産物と自国の農産物を原料にした加工食品の使用を義務付けた学校給食法がある。
コメを食べなければ野菜、大根、ねぎ、ニンニク、唐辛子の消費が一緒に減って農家所得をさらに低下させる結果をもたらす。安い輸入米が大量に持ち込まれ、このままコメの消費減少が続けば稲作の基盤が崩壊する状況も考えられる。
農村人口はかなり減ってはいるが、全人口の9%である450万人にのぼる。彼らは黙々と農村で暮らしながら国土環境を大事にし、食糧の生産基盤を維持している。韓国産コメの価格競争力が低いにもかかわらず稲作を放棄できない理由だ。欧州諸国で実施している農民に対する直接所得補助制度のように、韓国も世界貿易機構(WTO)が認める範囲内で農民が信頼できる農家所得保全政策をまとめなければならない。
コメの在庫管理費用が1000億ウォンを越える現実を考慮し、2年以上経った低級米の積極的な処理策を見つけなければならない。
コメの増産政策の放棄を単純な修辞に終わらせないためには、等外品を買い入れるといった政策を捨てなければならない。品種と質によって買入れ価格の差を付けて高級米本位の生産を促す必要があるだろう。