米国がテロ攻撃に対する本格的な報復体制に入ったことで、世界中に緊張感が高まっている。現在の米国国内の雰囲気から、テロの背後勢力に対する大規模な軍事報復は避けられない状況だ。世界を驚がくさせた野蛮なテロ行為に続く大規模な軍事報復がもたらす衝撃について、憂慮せざるをえないのが現状である。
今度のテロが人類最悪の反文明的で反人倫的犯罪であることを思えば、いかなる方法を動員してでもその根を断つことが、人類の未来のためにも役立つ道である。テロリストはもはや人類全体が裁きにかけるべき共同の敵であることが再び明確になった。世界各国は自国のみならず地球全体の安全のためにも、米国の報復に積極的に参加すべき立場にいる。
今回の事件からみて、テロリストは今後もっと悪辣な手段を動員する可能性が高い。核や生物化学兵器など大量破壊兵器のみならず、文明の利器も大胆にテロに使われるだろう。そのようなテロを防止するためには、大規模な軍事的報復も場合によっては必要かもしれない。これからは、国同士の戦争ではなくテロを断行する小規模集団や団体との戦争もあり得るという専門家の意見にも耳を傾ける必要がある。
また一方では、国際的なテロ監視体制と対応手段を積極的に講じなければならない。国際的な反テロ機構を作り、各国が外交的協力を強化するのも効果的なテロ防止策の一つとなるだろう。過去のように宗教的な利害関係から、テロリストを匿ったり保護する国は、国際的に厳しい制裁を受けさせるべきだ。
しかし、テロに対する報復や懲罰は、テロ集団に限らなければならない。さもないと、当初の目的からはずれた凄まじい結果を生みかねない。テロリストは、自分達に対する攻撃を逃れるため意図的に民間人を盾に使う。今度の事態が戦争のような状況に発展すると、無実の民間人の被害が大きいだろう。そうなると、自由体制がテロを裁くという名分も薄れるのみならず、テロリストが自分達の活動を合理化する口実を与えることになる。
かつてない大惨事に見舞われた米国としては、テロリストに対し全面的報復に出るのはやむ得ない選択かもしれない。しかし、米国はどうすれば罪のない人々の被害を、最小限に止めることができるかについても深く考えるべきである。戦争になるとすれば、もう一つの悲惨な結果がもたらされる可能性もあるのだ。