検察が特別監察本部を発足させて三日も経たないうちに金大中(キム・デジュン)大統領と与党が特別検事制を受け入れたことで、検察としては困惑したに違いない。与党は日増しに増幅する季容湖(イ・ヨンホ)ゲートを検察の独自捜査に任せていたが、高級服ロビー事件の二の舞になるよりは、負担がかかっても特別検事制を通じて疑惑を払拭したほうが望ましいと判断したように見える。
特別検事制はすでに二回の経験があり、先進諸国においても議論を呼んでいる制度だが、ことがここに至ったのは検察の自業自得と言うしかない。検察総長の実弟が関わり、検察幹部が疑われている状況で、検察の自主調査では疑惑を払拭する成果を期待し難いのが事実である。
与野党が特別検事制の細部的な手続きに合意し、法が制定されるまでにはかなりの時間を要するため、最高検察庁の中央捜査部と特別監察本部の活動が中断されてはならない。特別検事が活動を始めるまで、検察としては季容湖ゲートの真相の解明に向けた努力を続けなければならない。
季容湖ゲートの波紋があまりにも大きいため、キム・ヒョンユン前国家情報院経済団長関連の事件が葬り去られようとしている。検察は、金前団長がチョン・ヒョンジュン事件の捜査の際東方(トンバン)金庫の側から5000万ウォンを受け取った容疑をつかんだが、これをうやむやに処理した疑惑を持たれている。権力型不正事件の釈然としない内部捜査の終結という面で、性格が似通っている事件であるため、強力な捜査を行い、この事件も特別検事の捜査の対象に入れなければならない。
季容湖ゲートは、監察と捜査が進行している最中で、与野党が特別検事制に合意した経緯は釈然としないところがあるが、検察としてはかえって背水の陣を敷いて捜査を行える機会になる。
特別検事制の導入を前提にした監察と捜査の前で、内部の抵抗や外部の圧力は力を失うしかない。
国家情報院幹部の金品授受関連の事件も同様である。
与党の一部では「季容湖備忘録」は存在せず、特別検事制を導入しても何も変ることはないため、避ける理由はないと言っているが、権力型不正事件はそれほど単純ではない。掘り下げて捜査を進めていけば、今まで明るみに出なかった腐った部分が姿を現わす可能性が高い。
特別検事によって検察で徹底的に解明されなかった権力型不正が発覚したり、検察とは全く異なる結論が下されれば、検察は二度死ぬことになる。反面、検察が聖域のない公明正大な捜査を実施すれば、特別検事制は確認と検証の意味しか持たないだろう。