マスコミ社に対する税務調査と関連し、朴鉂ヨン(バク・チュンヨン)国政広報処長が26日、国会の国政監査の場で行った発言の一部は明らかに事実を歪めている。
朴署長は文化観光委員会による国政広報院に対する国政監査の答弁で、 東亞日報社が税務調査を受ける過程で、あたかも政府に妥協を求めた事実があったように述べた。呆れるばかりだ。ありもしないことを事実のように装うのが、現政権が強調し続けている言論改革なのか問い直したい。
朴処長が妥協を示したとされる事例として、6月9日金炳クァン(キム・ビョンクァン)当時東亜日報名誉会長と安正男(アン・チョンナム)当時国税庁長との面談をあげているが、その場では税務調査の話は触れてもなかった。金名誉会長は反って「税務調査に関しては述べることがない。そちらの所管だ」とし「政府は民主主義を守るべきで、大統領が発表した国政刷新対策の約束は守ってほしい」などの話しが交わされた。いかなる妥協や協力も求めたことはない。その場で交わされた対話内容はその後、金前名誉会長も公表し、一部マスコミでも報じられた。
それを妥協提案との形で歪曲されるのは、マスコミ社に対する税務調査以降、継続している特定日刊紙攻撃としか思えない。国民の目にはマスコミがうわべでは政権を批判しながら裏では駆引きをするような不道徳な集団に映りかねない。東亞日報の名誉は大いに傷ついた。政権の意図が不純といわざるを得ない。盗人猛々しいのも程々である。
今度ばかりではない。政府与党の一部委員は言論事態の渦中にも、絶えず特定マスコミを一方的に誹謗している。それも根拠のないことを事実のように見せかける場合が殆どだ。しかし、このような状況のなかでも政府はマスコミに対するいかなる弾圧も圧迫もないと強調している。目を隠し空を見上げているようなものだ。その過程で言論問題は益々こじれ、国論の分裂現象も一層ひどくなっている。
朴処長は大統領府スポークスマンを経て現在は政府スポークスマンとなっている。誰よりも真実に忠実でなければならない人が事実を歪めて良いものだろうか、実に遺憾としか思えない。政府レベルで納得できるほどの説明と措置が求められる。新聞で報道された内容を引用したに過ぎないと言い逃れして済まされる話でない。
マスコミの最も大事な使命は権力に対する批判である。マスコミと政権の間に妥協があるとすれば、マスコミはその役割を放棄したのに変わらない。
我々はこれまでいかなる時にも政権と妥協した覚えはなく今後もそうありたい。