秋夕(チュソク、韓国のお盆)を迎えた故郷で、怒りと憂慮で圧縮された民心を見ることができた。相次ぐ疑惑事件はその結末が見えず、誠実に暮らしている多くの庶民の怒りを買った。秋夕を迎えた民心は、政界に対する総体的な不信と経済状況に対する懸念でいっぱいだ。
政府や与党に対する不満の水位は非常に深刻なレベルにある。特に、検察高級幹部が芋蔓式に関連している李容湖(イ・ヨンホ)ゲートは検察が捜査のいかなる結論を出しても、それを信じ難いものにした。ひいては与党議員の口から、腐った検察を抜本から改めなければならないという話が出るたほどだ。
全国どの地域に限らず、景気低迷が長期化していることで経済に対する不安感が拡散している。故郷を守って暮らしている両親や兄弟は穀物の価額下落を心配した。地方都市の小さな企業や店は在庫の品物が売れず、雰囲気を憂うつなものにしている。
韓国経済の牽引車の役割を果たしていた輸出は7カ月連続、減少傾向を見せている。韓国をめぐる世界経済の環境も非常に芳しくない。なのに、経済と民生を守り立てなければならない政界は政争に明け暮れ、むしろ民生のための行政と経済の活性化に負担を与えている。
今年に入って、もう4度も長官が入れ替わった建設交通部(建交部)は、乱麻のように絡んでいる政治がいかに行政を萎縮させたのかを如実に示している。15日間しか在職していない長官や20日間ぶりに長官職を退いた人もいた。建交部の職員らは新任の長官に業務報告するのに大半の時間を過ごしたわけだ。
実務に長けた長官が仕事をきちんとしていたら、国の威信に傷をつけずに、航空業界に打撃を与えた米国による航空安全2等級判定を避けることもできただろう。金大中(キム・デジュン)大統領と金鍾泌(キム・ジョンピル)自民連名誉総裁の共調(DJP共調)で長官職の分割という状況では、能力と潔癖を検証するシステムが正しく機能しなかったためだ。
DJP共調が崩れると、今度はマスコミ各社の税務調査に対する褒賞として昇進人事をするのに、健康や財産に対する十分な検証過程を取らなかった。時効の終わった過去のことだというが、出所が不確かなカネで公職者らが富を築き上げるのを防ぐためには、公職者の財産公開制度に対する全体的な見直しが必要だという意見が出ている。
任期末と経済難が重なった状況で、現政権が気を引き締めて取り掛からないと、混乱極まりない事態に瀕する可能性もなくはない。政府は権力型不正の疑惑を余すところなく明らかにして、崩れかけている民心をまとめて、経済と民生を守らなければならない。秋夕の帰省を通じて、確認された民心を謙虚に受け止めてこそ、庶民の怒りと懸念を鎮めることができるはずだ。