世界最強国である米国のテロに対する報復戦争と国内の不透明な経済の見通しなどで、国内外の環境が芳しくない中、一国の大学の問題を論じるということは貴重な紙面を無駄遣いするのではないか、と思われるかも知れない。
にもかかわらず、昨今の一触即発の事態は近い将来、いかなる形であれ結末を迎えたり、または仕方なしに、また違った局面に変わっていく。それに比べ、大学の問題は10年もしくは20年先になってようやく国の将来を大きく左右する課題となるため、勇気を出して筆を取った。また、今こそ、大学改革に向けた対策の枠組みを設けなければならない決定的な時期だ、と思ったからでもある。
大学がここ数年間、政府を含めて社会からよく聞かれる共通した要求は、競争力を培うべきだということだ。大学も、もうこれ以上「象牙の塔」としての生き残りを図ることはできないため、社会の需要に見合う教育と研究をせよ、という意味だ。学生を選抜するのもそうだし、教授の勤務条件を決めるにもそうあるべきだ、という。志望する学生の人数が少なければ、結局その学科は閉鎖されるしかなく、教授らの勤務期間と報酬も、「研究実績」によって決めるのが当然で、韓国経済が必要とする研究に多く取り組み、その報酬で学校の財政を運営せよ、という。
最近、大学のいたるところで盛んに進められている学部制、年俸制、産学の協同研究のような試みは、こうした社会の要求に応えたものだ。昨今の変化をここで「試み」と表現したのは、こうした新たな措置が韓国の大学を結局いかに変質させるか、誰もよく理解しないままことを進めようと急ぎすぎているためだ。大学の運営と発展は、直に、もしくは間接的に責任を持っている大学内外の人々は、大学外部の緊迫した市場変化に圧倒されたのか、市場需要に見合う変化を一日でも早く、できるだけ多くのものを受け入れよ、と促してばかりいる。
一方では、大学内部で、こうした変化を体をもって実行しなければならない人々、すなわち教授らはまとまった意見を見出せず、全体が進むべき方向を決められずにいる。以前から市場の需要に叶った関連分野にいた教授は、こうした新たな変化を歓迎し、よく適応している反面、そうでない教授らは将来に対する不安にとらわれている。いわゆる、「人気学科」と「不人気学科」間で泣く者もいれば、笑う者もいるわけだ。ただひたすら市場の需要だけを見て、新たな学科を大急ぎで設けたり、いくつかの学科を廃止・統合したりした。
大学は本来、市場の需要に直ちに、敏感に反応する競争ゲームに適しているように構成されたシステムや機関ではない。そのため、いわゆる「需要者中心」への変化要求に支離滅裂し、慌てるのは当然だ。
こんな時に、大学の将来を憂慮する者が心を一つにしなければならないのは大学内で変化してはいけないものは何であり、変化してもいいのは何であるかを判断することだ。もとをただせば、今日先進産業国といわれる国の競争力も、その国の大学が過去100年、200年間知的な力量を蓄積してきたためではないか。言い換えれば、変化に激しい市場の需要に敏感に対応せずに、ただ知的好奇心、アカデミックな体系化、公益に対する関心に熱中し、積み上げてきた業績の土台の上で今日の先進国になったということだ。
さらに、今日のように、世の中がめまぐるしく変化すればするほど、果たしてだれが一世代、二世代以降の世の中を正しく判断できるだろうか。大学こそこうした不確実な将来に対する国と社会、ひいては人類の恒常的な意志と知性の安全弁であり、担保なのだ。
今日全人類の生存条件である世界経済が緊迫に、厳しく変化している中、大学だけが超然としていなければいけないという意味ではない。
みんなそれぞれが置かれた境遇にしたがって、世の中の変化に適応できる生き残りを図るための戦略があるべきだ。しかし、その前に、国家全体、そして各大学ごとに変化してはならないものに対して合意し、またそれらを維持できる対策を打ち立てなければならない。何年か前にある財閥総帥が「妻を除いてはすべて変えなければならない」と言ったそうだが、大学までもがそうなっては、私たちみんな不確実な将来に対する危険負担があまりにも大きいのではないだろうか。
権泰逷(クォン・テジュン)ソウル大学環境大学院教授(政策学)
(11)「協力お願いします」
「テロとの戦争」に対する協力を求めるため、中東4カ国の歴訪に出かけたラムズフェルド米国防長官(左)が3日、サウジアラビアの首都リヤドの王宮でファハド国王(右)と会談している。
(12)「タリバーン政権は女性の敵」
「同胞らの悲惨な生を知ってから罪責感に悩まされ、結局祖国へ戻りましだ」。
アフガニスタンの残酷な現実が、36年前に祖国を離れ米国人と幸せな結婚生活を送っていた女性の人生を変えてしまった。アフガン女性を助けるために組織された国際団体ネガル(NEGAR)の代表であるナスリン・グロスさん(55)。氏は先月戦乱中の祖国を25年ぶりに訪問し本格的な救護活動を始めた。
現地語で「友だち」乃至は「権利」という意味を持つ「ネガル」は、96年、タリバーンが首都カブールを占領し女性にあらゆるの迫害を加えていることに対抗するため、海外居住アフガン女性を中心にパリで組織された団体。これまではタリバーンの女性弾圧政策の中止を要請する500万名の署名を受け国連に送っており、女性基本権の保障を求めるアフガン女性指導者「300名の宣言」も導出させた。
—ネガルはなぜたりバーンを批判するのか。
「タリバーンはアフガン女性だけではなくすべてのアフガ人の生を壊した。タリバーン政権以前は教師の70%、医療人(医師、看護士)の75%が女性だった。タリバーン政権下で女性就業を禁止させたため、多くの学校が教師不足で閉校となり、患者らは医師不足で死んで行った。これは宗教の名を借りてほしいままにしたテロだ」。
—タリバーン政権がどういう風に女性を弾圧するのか。
「すべての女性に顔をベールでまとうよう強要したのはすでに知られていることが、女性は就職も勉強もできない。96年までアフガン大学生の50%は女子大生だった」。
—アフガニスタンの未来をどう展望するのか。
「タリバーン政権はすでに国民の支持を失ったため、間もなく崩壊するだろう。我々は女性の権利を尊重する新政権の成立を希望している。北部同盟は、カブールを征服すれば、我らの主張を反映した新しい憲法を設けると約束している。もちろん、戦争が開始されれば苦痛を嘗めるはずのアフガン女性を助けることも重要だ」。