ロシアと日本両国が韓国漁船による南クリル列島(北方領土)での操業を禁止することに合意したという日本マスコミの報道が事実ならば、韓国のサンマ遠洋漁業に与える打撃はもちろん、外交面でも非常に大きな問題となる。
南クリル列島水域での韓国のサンマ漁獲量は、年間30〜40%を占めている。なのに、この水域で操業できなくなるとなれば、韓国の関連業界はただちに破産の危機に追い込まれれるしかない。業界ではいまのところ、代替漁場を設けることは不可能な状態だと主張している。さらに、日本政府はもう一つのサンマ漁場である三陸周辺水域についても韓国の操業を認めずにいる。
このような状態になるまで、政府はその間何をしてきたのか、理解できない。1991年に漁業協定を結んだ韓ロ両国は、南クリル列島での操業問題を毎年協議してきた。同協議により、今年は韓国漁船が1万5000tのサンマ操業をすることに合意し、来年度の操業問題について協議に入る予定だったという。私たちはこれまでの前例だけに頼ってきたわけだ。政府当局者は、ロシアと日本が南クリル列島に第三国による操業禁止を議論している、という話を耳にしても、「韓国側に被害がないようにする」としたロシア側の主張だけを強調したという。しかし、同水域は日ロ間の領土紛争問題があるため、操業問題に関して、両国が談合する可能性があるという分析は以前から提起されてきた。
まず、日本とロシアとの談合が事実なら、これは大国らしからぬ、まずい処置だ。ロシアが日本から入漁料の補償を受ける代わり、韓国漁船の操業を禁止するとすれば、その間やっとのことで築き上げてきた両国間の信義はどうなるのだろうか。特に、日本政府が意図的に韓国漁船のサンマ操業を排除しようとしたことは、やっと修復段階に入った両国間の葛藤をさらに煽る結果をもたらす可能性が大きい。こんな状況で、小泉純一𩒐首相の訪韓はたしてどんな意義があるのだろうか。日本とロシアは、国際社会での信義と体面を取り戻すためにも、自国の利益だけを追う、こんな卑劣な談合は行うべきではない。
問題が大きく膨らんでから、慌てて「鎮火」に乗りだすような外交では、国家利益をきちんと守ることはできない。少しでも問題になりそうな案件はあらゆる外交ルートを動員して、あらかじめ解決策を模索するべきだ。特に、今回は政府が北朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との南北問題をはじめ、国内問題にだけ目を向けたあまり、未然に防げる問題をそのまま見過ごしたのではないか、反省する必要がある。遅れ馳せながらも積極的に外交上の対応策を設けるべきだ。