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[オピニオン]人権を保護できない文明国はない

[オピニオン]人権を保護できない文明国はない

Posted October. 15, 2001 12:27,   

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「ヨーロッパの人々は廃虚を文化の基準とし、米国人は配管を文化の基準としている」と言う言葉がある。

旅行好きな人なら、イタリアの雄大なローマ遺跡と輝かしいルネサンスの建築や美術品を見て感嘆しながらも、お土産を売るお店やレストランで高い値段で買わされたり、ホテルで水はけがよくなくて「とんでもない後進国だな」と、矛盾した経験したことがあるだろう。輝かしい文化遺跡が多い国ほどこんな経験が多い。

ところが、米国に行くと見物するほどの文化遺跡は多くないが、上下水道やエアコン、電力供給施設、電話設備などがよく整えてあり、故障もほとんどないため、「先進国」という言葉を実感することができる。

文明国家の基準は何だろうか。人によってそれぞれ自分なりの基準があるだろうが、私は現代では人権が絶対基準になるべきだと思っている。上流層の人だけが豊かな生活を送り、貧しく力のない者はあらゆる不利益を被り、法の保護も受けられずにいる国はいくら輝かしい文化遺産を持っているとしても、文明国にはなれないと私は信じている。

人権は自然環境のように最初からもたらされたものではない。人権はどの国でも識者層と民衆がともに数百年間にわたる激しい闘争を通じて勝ち取り確立したものである。人権が確立した国では、抑圧に屈したり堪え忍ぶようなことが少なく、個人の能力を大いに発揮できるため、社会発展の可能性も高い。

もちろん、いくら人権が保障されている国でも人権を蹂躙するような事件は起る。しかし、そんな事件が明らかになれば、徹底した捜査が行われ、加害者が処罰を受ける。少数民族や不利益を被った集団に対する権利侵害があった場合、その不当さを批判する世論が形成され、公権力によって海外で数十年前に犯された人権侵害も掘り下げ、責任究明する国こそ真に人権を尊重する国と言える。

人権が保障された国では女性の権利も伸長している。だから、女性が覆面のようなベールに閉ざされ、文盲の暗黒の中で暮らすことはない。偉大な学者や芸術家、事業家の資質を生まれ持った女性が針仕事ができないからと言って殴られたり、飯炊きができないからと言って追い出されることなどもない。両親が反対する結婚をすれば、女方の実家の親戚がどことん探し出して、40年経った後でも「名誉殺人」をするようなことはない。

また、人権が保障された国では、身体が不自由な人が生活に不便がないように最大限の配慮を受ける。身体が不自由なことを家族の恥だとは思って、小部屋などに閉じ込めて置くことなど、人権が発達している国では起らない。

自分の権利と義務に対する国民の意識が確かな文明国では法秩序が確立されていて、権力型不正は徹底して究明される。だから、権力者でも不正不法な行為を犯せば、厳しい審判を受け、権力にコネのない人が生業で不利益を被ることはない。

人の安全と健康を脅かす手抜き工事や乱開発など、なかなか考えられたものではない。先進国で配管がきちんとできているのは技術が発達しているからだけではない。暮らしの便利さと安全に結びついているという施工者の意識があるからだ。また、製品を安心して消費できるのが先進国だ。生産地の表示が誇らしげにつけてある高価の果物の詰め合わせが食べられない果物で詰められてあったり、有名デパートの数十万ウォンのギフトセットに偽の骨付き肉やイシモチを取り合わせて売っても、何の制裁も受けない国は国民意識の遅れた後進国だ。

現在のために未来を剥奪することもほしいままにされることはない。稚魚を取って魚の種を絶やすような不法なサカナ取りをして摘発された人が、「これは私が生き残るためにしたことだから、泥棒を働いたのではない」と堂々と言う国は文明国ではない。

最近の多発テロ事件に対する報復戦争のため、「文明の衝突論」も提起され、イスラム文化に対する関心が高まっている。現実社会の左派勢力はなぜか、閉鎖的で抑圧された貧しい国に対して幻想を持っている。もちろん、先進国にも様々な弊害と悩みがあるだろうし、国家政策の間違いも多い。そして、後進国なほど人情が深いというのも事実だ。しかし、後進社会に対する同情からその国の後進性をすべて貧困のせいにし、そして、彼らの貧困を先進国のせいにするとすれば、社会全般の不条理を暴き出す作業もそれだけ遅れるしかない。