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[書評]「人間」を喪失すれば自由主義はない。

[書評]「人間」を喪失すれば自由主義はない。

Posted October. 27, 2001 10:05,   

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李根植(イ・グンシク)教授(ソウル市立大経済学)と黄𨯁植(ファン・ギョンシク)教授(ソウル大哲学)が編集したこの本(副題—自由主義の意味、歴史、限界と批判)は、まさにこのような自由主義の歴史的な位置づけと現在的意味を正しく確立することで、韓国社会で「傷ついた自由主義」の回復をめざしている。この本で、哲学、歴史学、政治学、経済学そして法学にいたる10人の人文社会科学者は、近代の自由主義をめぐる多様な談論を徹底的に掘り下げ、その功罪を評価している。

冒頭を飾っている李根植教授の「自由主義と韓国社会」は、全体を総括するコンパスのような役割を果たしている。イ教授は、自由主義はすべての人々が対的に大切な存在で、自由で平等だという近代市民思想の中核をなしている。言い換えれば、それは抑圧的で差別的な伝統的な階級社会を解体し、民主主義と法治主義を建設する健全な理念だと言える。

この古典的な自由主義は最近猛威を振るっている新自由主義とは多少異なる。古典的自由主義が自由、人権、寛容を重んじている反面、資本のグローバル化に代弁される新自由主義は簡単に言えば、人間喪失の自由主義だと言っている。

この本の持つ大きな長所は、自由主義に対する談論を学問的に多様な観点から捉えていることだ。

それが西欧の長い歴史の中で発展してきただけに、自由主義は「単数」ではなく「複数」で存在し、この本はまさにこのような自由主義の多様な潮流に対する理解を深めることに貢献している。

自由主義をめぐる多様な批判と反批判をともに取り上げているのも、この本のもう一つの美徳だ。

さらに、最後の章で、チョ・ウヒョン教授は自由主義の観点から21世紀韓国の新たな経済・社会政策を積極的に模索しており、注目を集めている。「改革的自由主義」と銘々されるチョ教授の戦略は21世紀ネットワーク化時代に成長と公正が調和をなすヒト中心の経済を築くことで要約できる。このモデルは古典的自由主義の理想をグローバル化及び情報化の流れを中で再構成しているという点で、韓国社会の未来に対し、示唆するところが大きい。

しかし、この本に弱点がまったくないわけではない。まず、自由主義の多様な談論を紹介しているにもかかわらず、文化的自由主義が抜けていることは残念である。従来の自由主義と新自由主義の関係に対する討論も論争の種となっている。

捉え方においてやや違いもあるが、この本の著者はだいたい自由主義が21世紀韓国社会に向けた理念的代案の一つであることを強調している。現在進行している世界史的な流れが自主性と柔軟性の拡大にある限り、このような展望はもっともなものだ。しかし、このような自主性と柔軟性に、社会的な弱者のための平等をどのように結び付けるのかに対する具体的な戦略の模索は依然として重要だ。利己的個人主義の「偽りの自由」を超えて自由と平等が調和する「真の自由」を実現すること、まさにこれが現在の自由主義が直面している理論的苦悩であり、実践的課題であろう。

李根植、黄𨯁植編著/三星(サムスン)経済研究所

金皓起(キム・ホギ)延世大教授(社会学)