今回の世界貿易機関(WTO)の次期多角的貿易交渉(新ラウンド)は、これまで農業部門で特典を享受してきた韓国の発展途上国としての地位が保たれ難い方向へ展開されている。
政府の首席代表である黄斗淵(ファン・ドゥヨン)通商交渉本部長は9日ドーハで記者会見し、「米国と農産物輸出国の集まりであるケアンズグループが、農産物市場に対する急進的な自由化(開放)を強く求めている」とし、「韓国は他の非交易的関心(NTC)グループと歩調を合わせて、農業の持つ敏感な政治的な側面と農民の反発などを理由に反対している」と述べた。
米国とケアンズグループは、韓国を含むNTCグループが主張し続けてきた農業部門の段階的な市場アクセスの代わりに大幅な市場開放を要求し、これを第4回WTO閣僚会議の宣言文の2回目の草案に盛り込んだことが確認された。
これらの国々は大幅な農産物市場の開放に反対する場合、ウルグアイ・ラウンド(UR)の交渉結果によって韓国に与えてきた途上国地位の維持とコメ関税化猶予措置の完全無効化まで取り上げている。
韓国は食糧安保と環境保全など農業の持つ非交易的特性の重要性を強調しているが、宣言文の草案はこの問題について、「考慮できる」との宣言的な水準にとどまっている。
非政府組織(NGO)の代表として出席したWTO国民連帯の張原碩(チャン・ウォンソク、檀国大学教授)常任執行委員長は「閣僚会議の宣言文の草案に韓国政府の農業部門の意見は全く反映されていない」とし、「貿易は戦争なのに政府代表団の対応が甘い」と語った。
張教授は8日、ロドリゲスWTO事務次長など交渉関係者に会ってから、韓国が途上国地位の維持とコメ関税化の猶予など農業部門で恩恵を受けるのは難しいと伝えた。
特に、今回の交渉が議題別に交渉してその結果を導き出す個別妥結方式ではなく、すべての議題をまとめて妥結する一括妥結方式で行われる予定だ。そこで、交渉力と数でケアンズグループより劣勢のNTCグループが主張する農業的特殊性を他国に認めてもらうのは容易でない見込みだ。
黄本部長は「今回の交渉は一括妥結方式が有力視されている」とし、「この場合、UR結果により別途交渉中の農業とサービス部門が新ラウンドの議題に盛り込まれる」と話している。
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