「噴出した人権意識」。
26日に発足した国家人権委員会(委員長、金昌国弁護士)に各種の陳情が雪崩れ込むように寄せられ、国民の「人権」への欲求と期待が予想外に高いことを浮き彫りにした。
発足2日目を迎える人権委員会は、これまでに社会的、法的な限界などから訴えどころがなかった多数の国民にとって多様な人権侵害事項を取り上げられる「噴出口」の機能を果たすことになると期待されている。
まず、量的にも発足当日の26日に122件の陳情が受け付けられており、翌27日にも直接訪問したり電話やEメールなどを通じて計113件の陳情が寄せられた。
また、人権委員会事務室には、問い合わせの電話だけでも一日で100通余りかかってきた。民間の人権団体にもインターネットと電話などを通じて人権侵害の被害を訴える話が一日10件余り受け付けられている。
質の面でも印象的な場面が多かった。これまでは人権侵害というと、公権力の乱用による被害の訴えが大半を占めていた。
しかし、人権委員会に寄せられた陳情内容には、同性愛者とトランスジェンダー(性転換者)の人権問題や良心的な兵役拒否者の人権問題など、社会の「死角地帯」に置かれていた話が多数含まれている。
例えば、同性愛者人権連帯のイム・テフン代表は、トランスジェンダーの金某氏が昨年7月に身分証の写真や実際の容貌が住民登録証と異なる上に他の乗客たちに嫌悪感を与えかねない、として旅客機の搭乗を拒否された事件で陳情を出し、損害賠償と再発防止を要求している。
人権委員会の金炯完(キム・ヒョンワン)幹事は「国民の人権に対する問題意識と期待の水準がこれほどまでに多様で、かつ高いことに驚いた」と言い、「当分は人権侵害の是非を問わず、寄せられた『訴え』を最大限に受け入れる方針だ」と述べた。
専門家たちは「長い間を抑制されてきた国民の人権に対する欲求が、一気に噴出した形だ」として、「人権委員会の発足を機に、これらの欲求が積極的に受け入れられる方向に進まなければならない」と指摘した。
国際赦免委員会(アムネスティー・インターナショナル)韓国支部の呉完鎬(オ・ワンホ)事務局長は、「人権委員会が国家機関による人権侵害はもちろん、社会的に黙認されてきた各種の差別行為を正すうえでも努力を傾けなければならない」と述べた。
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