国民の税金からなる「国の財産」が、まるで持ち主のいない財産のように無駄遣いされている。湯水のように無駄遣いするのは言うまでもなく、機会さえあれば誰もが腹を肥やそうとした場面が、あちこちで摘発されている。
公的資金に対する政府のずさんな運営と管理で7兆ウォンという巨額の資金が国内外に消え去った、という監査院の発表が衝撃を与えたのが数日前のことだ。今度は教育部の「頭脳韓国(BK)21」事業の資金までも不当に使用されたという監査結果が出たほか、国民健康保健公団も休日の勤務手当てなどで200億ウォンを浪費したという。
公的資金は返済せずに、国内外に私財を隠した経営破たんの企業オーナーや金融機関の役職員ら。もともと自ら不適格者であることを知りながらもBK21資金を受け取って使い込んだ人や、資金を不当に使用した大学当局の法的、道徳的責任はもうこれ以上口にする必要さえない。国民の税金を馴れ合いで分配する政府傘下企業の不正だって、きょうに始まったことではない。
こうしたことよりも国民がさらに怒りを覚えるのは、このように「国の財産」が洩れ出ているのに碌に管理もしなかった関係当局の情けない業務態度だ。「国の財産」とその使い道をいちいち監督し、管理する仕事より重要なことがあるだろうか。政府が知っていながらも目をつぶったのか、それとも管理監督能力が全くなかったのか、問わざるを得ない。
特に、公的資金の問題は経営が破たんした企業や金融機関のオーナーや役職員の隠し財産を回収し、司法処理する線で終わらせる性質の問題ではない。公的資金の助成と執行などすべての過程の管理・監督責任を徹底して調査すべきだ。国際通貨基金(IMF)管理体制という国家の危機的状況を迎えて、どうしようもないミスがあったというような弁明は国民の当惑と怒りを煽るばかりだ。租税抵抗感さえも刺激する可能性がある。安易に対処する問題ではないのだ。
金大中(キム・デジュン)大統領が1日、「公的資金を徹底して管理できなかった政府にも責任がある。管理を怠ったという事実が明らかにされれば、責任を問う」としたのは、一応政府の責任を認めての発言である。だが、公的資金問題に関するかぎり、私たちはすでに「管理を怠った事実は明らかにされた」と判断している。
この機会に政府は国民の税金で助成された「国の財産」が流出することがないよう特段の対策を設けるべきだ。そのためにも、まず「国の財産」を管理・監督している政府関係省庁の責任を厳しく追及することを促す。