24時間地球中からあふれ出るニュースに埋もれていると、どうしても大きな事件を中心に報道してしまう。それゆえ小さくても意味のある出来事を見逃しがちになる。今年初め、イングランドサッカー代表チームの初めての外国人監督として赴任したスウェーデン出身のスベン・ゴラン・エリクソンに関するニュースがそうだった。
彼の活躍ぶりはスポーツ記事としては十分に扱われたが、彼の登場が英国に、そして韓国に与える意味についてはなおざりにされていた。
英国人がエリクソンを不満に思う様子はありありと見えた。66年のイングランドワールドカップ(W杯)優勝の主役、ボビー・チャールトン卿でさえ「大失敗」と評し、サッカー宗主国として傷ついたプライドを代弁した。
しかし、英国人がいざプライドをうんぬんすべきは、企業のヘッドコーチとも言えるCEO(最高経営責任者)の求人難だった。すでに英国は、国家代表チーム監督以前に、国を代表する企業のCEOを外国から引き入れている。
英国を代表する航空会社、ブリティッシュ・エアラインは昨年5月、オーストラリア出身のロッド・エディントン(52)をCEOに迎え入れた。また、世界全域に小売チェーン網を持ち117年の歴史を持つマークス&スペンサーも同様に昨年、ベルギー出身のバンデベルデ(51)をCEOに迎え入れた。
産業革命以前の1690年に設立され、311年の歴史を誇る金融会社のバークレイスも、昨年CEOが外国人に替わった。今年12月10日には、国営企業だった売上高300億ドルのブリティッシュ・テレコミュニケーションズが16カ月間CEO候補者を模索した結果、オランダ出身のベン(49)に白羽の矢を立てた。
サッカー宗主国よりは資本主義宗主国として記憶されることを望むであろう英国がCEOの主要輸入国になっている状況では、エリクソン監督の登場はささいな問題に過ぎないのかもしれない。
もちろん、外国人CEOを受け入れる文化的環境と開放的態度は評価に値するが、自国内で実力あるCEOを輩出できない教育と社会システムに重大な欠陥があるのは確かだ。
自らも外国人オーナーの手に渡った英国の代表的経済新聞フィナンシャル・タイムズは最近、米国とフランス、ドイツと比較し、「英国の社会、教育制度は何故ジャック・ウェルチのような卓越した経営者を輩出できないのか」と歎いた。
W杯予選成績、1引き分け1敗のイングランド代表チームを引き継いだエリクソンは、5勝1引き分けの華々しい成績でイングランドの予選通過を指揮することで、傷ついた英国人のプライドに数倍の形で報いた。
将来、外国人CEOたちが英国企業にとってエリクソン監督のような存在になるかもしれない。ここで話が飛ぶが、韓国国家代表チームのヒディンク監督がW杯でベスト16に入りしイングランドを撃破することだって可能かもしれない。しかし、「韓国の経営者たちは?」、「韓国のシステムは?」という記事が書きたかった。
洪銀澤 euntack@donga.com