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[社説]アルゼンチン情勢、対岸の火事ではない

[社説]アルゼンチン情勢、対岸の火事ではない

Posted December. 22, 2001 12:31,   

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経済難に苦しんでいたアルゼンチン国民の怒りがついに爆発し、大統領と内閣全体が権力の座から追い出される事態となった。実際、アルゼンチン国民はそれ以上堪えられない状況だった。財布のひもを引き締めつつ、何年か辛抱してきたものの、「職業もなく、お腹がすいていても食料を買うお金がない」貧困層が国民全体の40%を超えた状態では、それ以上耐える力がなかっただろう。首都ブエノスアイレスなどの商店からアルゼンチン国民が略奪したのは高価な耐久財ではなく、基本的な生活に必要な生活必需品だった。

20世紀中盤までは指折りの経済大国として挙げられたアルゼンチンが今日どうしてこのような状況になってしまったのか。一政権の経済政策の失敗では説明しきれない「原罪」となる理由があって、アルゼンチンが経済危機から脱せられないというのが定説となっている。多くの専門家らは、過去の政権の過ちの繰り返しと、これによってアルゼンチン社会にまんえんしている不信、利己主義がその理由であると説明する。とくに労働組合の支持を基盤に政権を握ったフアン・ペロンは、政権初期から労組の無理な賃上げ要求を受け入れるなど、人気取り(ポピュリズム)政策に終始することで、次の世代に苦痛を受け継がせた代表的なリーダーとして挙げられる。

今回退いたペルナンド・デルラルア大統領は、救済金融の支援を受けるために「財政赤字ゼロ」の達成を求めた国際通貨基金(IMF)の要求を受けて、公務員の給料と政府支出を大幅に削減し、銀行預金の引き出しを制限するなど強力な手を打った。1320億ドルの負債を抱えている国を救うための苦肉の策だと説明したが、政府の緊縮政策に従って痛みを分かち合おうとする国民はほとんどいなかった。国民は政府がIMFの要求を受け入れるために大多数の国民の首を引き締めているとして強く反発し、労組はゼネストに踏み切った。しかも経済担当相が悪玉の短期対外債務を長期の低利公債に切り替える過程で、巨額の口銭を受け取っていた疑惑が持ち上がるなど、政府高官の不正疑惑が取りざたされるまでになった。

アルゼンチンの事態が韓国にどんな経済的影響を及ぼすかは見守る必要があるが、「対岸の火事」と背を向けるべきではない。国民の怒りをあおるような、さまざまな権力者の不正疑惑が相次いで発生し、政府に対する国民の信頼が低下しつつある韓国の現実を直視し、アルゼンチンの事態が決して他人事ではないという警戒感を持つべきである。国民の信頼を失えば、国の根幹が揺らいでしまう。これがアルゼンチンから学ばなければならない教訓だ。同時に政府は2万5000人余りにのぼる現地の韓国人の安全を守るための対策も立てなければならない。