韓国がまたもや腐敗スキャンダルで揺れている。毎週、新しい「ゲート」が起こる。だが、このような一連の腐敗スキャンダルに驚く人はいないだろう。朴正熙(パク・ジョンヒ)元大統領以来、韓国の大統領はこのような根深い腐敗を一掃すると意気込んだが、ありとあらゆる試みは全部失敗してしまった。
最近のゲートは、名は異なるものの、青瓦台(大統領府)、国会、検察、それに国家を補完すべき国家情報院が関わっているという点では一致している。公務員に対する信頼を損なうこのような行為は、迅速な措置が取られない場合、政府への信頼に対する危機につながりかねない。もし韓国人が自国の政府に対して信頼を持つことができなければ、他国が韓国を信頼するはずがないのだ。
変化が必要なのは、特定の人や特定の政党ではなく、社会全体のシステムだ。単に、最近容疑が明らかになった人たちを刑事処罰し、内閣改造を行うだけでは問題を解決できない。それよりは、共謀と「世論をごまかすための裁判」の悪循環を断ち切ることのできる道を探る必要がある。これこそが、韓国が将来、政治・経済的に繁栄を享受できる道でもある。韓国は経済面で全世界でほぼ10位圏内にあると言えるが、最近国際透明性機構(IT)が発表した腐敗順位では、91カ国のうち42位となり、97年以来実質的な変化がなかった。
韓国は多くの面において、経済開発のモデルとみなされてきたが、その裏にはいつも腐敗が存在していた。政経ゆ着は急速な成長をもたらしたが、最近発生した問題の背景にもなっている。「韓国病」を永遠に根絶できる措置を取るべきである。
政治面では、政党はより民主的かつ透明にならなければならない。韓国の政界には、プロフェッショナルな政党の代わりに、各自の領域でボスになりたがる利己主義的な政治家だけが存在している。ボスの座に就くには、取り巻きで自分の回りを固め、党の運営にばく大な資金をつぎ込まなければならない。大統領選と総選挙候補の公認手続きを制度化すれば、ボスの力が弱まり、指導者の選択をめぐる国民の発言権は強化されるだろう。改革を追求する政治家は、国家のための改革を目指しているのか、それとも個人的な政治的キャリアを発展させようとしているのかを自問してみる必要がある。彼らはボス政治の根絶を目指しているのか、それともボスになろうとしているのか。
官僚の場合も、透明性と責任感を高めるのがやはり重要だ。去年夏成立した腐敗防止法は、正しい方向への重要な進展だといえる。これとともに、高官の会合をすべて記録し、内部告発を奨励、保護する追加の措置が取られなければならない。国家情報院の場合、文民優位が確立されたものの、いまや、国情院長に対する国会の人事聴聞会と任期制の導入を通じて国情院を政治的圧力から守らなければならない時期にきている。
新しい法と機構を作ることより重要なことは、既存の法を厳選に執行することだ。
新政権が発足し腐敗の一掃を掲げるたびに、法は前政権の報復手段となる場合が多かった。権力者は法が自分に適用されない限り、まるで法が最高の善であるかのように振る舞う。
韓国の指導者はお手本を示さなければならないが、変化は上と下の両方から始まらなければならない。韓国人はより進んだシステムを望むが、果たして、このために必要な措置を取り、その代価を払おうとしているのか。究極的には、韓国人が血縁、学歴、地縁より法治を優先視しない限り、いかなる改革も成功できない。国民個々人もプロフェッショナルリズムと情実主義のうち、どちらが国のためになるのかを問い返す必要がある。市民団体には監視機関としてのより積極的な役割が求められる。米国では、一部の市民団体(Center for Public Integrityまたは Center for Responsive Politics など)が企業と政治家間の金の流れを綿密にモニターする。
韓国人が先進国への仲間入りを希望するなら、必ず韓国病を治さなければならない。私は韓国のリーダー、より広くは韓国の国民が適切な措置を取れば、実現できると確信している。問題は時間がどれほどかかるかにある。時間が核心なのだ。
ピーター・ベック米ワシントン韓国経済研究院局長