▲金炳賢(キム・ビョンヒョン)〓ファンは今もその場面を忘れられない。
11月2日、ニューヨーク・ヤンキースタジアムで9回裏に、金炳賢(22、アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が二死後スコット・ブローシャスにツーランホームランを打たれた後、マウンドにひざまずいた瞬間を…。「運命のいたずら」と言える二日連続の9回裏二死後の同点ホームラン。金は泣き出さんばかりに頭を両手で押さえた。外信はその瞬間の金を「世界でもっとも寂しい男」と表現した。
しかし、勝利の女神はアリゾナに4勝3敗の逆転勝ちをもたらし、金を「世の中でもっとも幸せな男」にした。ワールドシリーズで優勝した初の東洋人になった。今年一年間、金ほど「地獄と天国を行き来して劇的な栄辱を味わった人がいるだろうか。それで、金は忘れることのできない2001年が過ぎ去るのが名残惜しい一方で、すっきりした気持ちも抱いている。
「本当に多くのことが起こりました。嬉しいことも、悲しいこともありました。また、辛かったこと、楽しかったことも思い出されます。私の野球人生に大きな影響を与えた一年で、野球は独りでできるものではないことに気づきました。2001シーズンを胸の中に抱いてこれからもっと頑張ってファンの期待に応えていきたいと思います」。
ワールドシリーズの期間中、ファンとマスコミのスポットライトを集中的に浴びた金の2002年シーズンの投球一つ一つに関心が集まるのは間違いない。ワールドシリーズが終わった後、急に自分に向けられた関心が負担となるだろうが、その負担を払いのけるのも、自分に与えられた使命だ。今や、ファンは衝撃的なホームランを打たれた後、マウンドから消えていった大リーグの他の投手とは異なって、金が堂々と打者を三振にしとめ、真のスターへの跳躍を図る姿を期待している。
▲金美賢(キム・ミヒョン)〓スーパー・ピーナッツ、金美賢(24・KTF)は可愛い笑顔で大きな人気を集めた。日頃、嫌な顔をすることがめったにない金だが、その日だけはこぼれる涙を抑えることができなかった。7月、キャッシアイルランド・チャンピオンシップでプレーオフの末にロジ・ジョンソン(米)に負けて準優勝にとどまり、涙を流したという。
4月のオフィスジポでアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)に延長戦で優勝を奪われたのに続き、またもや優勝を目の前で逃してしまい、込み上げてくる悲しみを抑えることができなかった。
「優勝に対する負担と焦りをふっ飛ばすことができませんでした」。
しかし、金の不運はこれに止まらなかった。8月、メジャー大会の全英女子オープンでも首位に立っていたが、最終日で朴セリに逆転勝ちを許し、優勝トロフィーを明け渡した。3回の準優勝にとどまった金は、米国に進出して3シーズンで初めて一勝も挙げられずシーズンを終えなければならなかった。
それに、時間を割いて参加した国内大会でも、優勝を果たせず、96年のプロデビュー以来初めて無冠の苦杯を喫した。血管が弱くて鼻血がよく出た上、病気がちなのも、金には痛手となった。
「スポーツの世界はいつも一等だけが記憶に残ります」。
13回「トップ10」入りする着実な成績で、賞金ランキング8位となっているにもかかわらず、肝心な優勝が一勝もなく物足りなさを感じている。暮れてゆく2001年とともに痛い記憶も吹っ飛ばしたいという金は、28日、再跳躍を目指して米国に向かって出発した。来シーズンは例年とは違って、2月末に始まり、どの時期よりも充実した冬季練習ができる。ショートゲームとパット中心にシャットを鍛える計画で、いかなるピンチの時にも動揺しないようマインドコントロールも身につけるつもり。
「もの足りない気持ちもあるが、米国の舞台にほとんど慣れたという自信感も得ました。未練は吹っ飛ばして頭を切り替えて頑張ります」。
明るい金の声から、痛い心の傷はいつの間にかぬぐい去られたようだった。
金鍾錫 ssoo@donga.com · 金相洙 kjs0123@donga.com