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[社説]公正人事の指示、名ばかりのものだったのか

[社説]公正人事の指示、名ばかりのものだったのか

Posted January. 05, 2002 13:49,   

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大統領府行政官(4級)出身の金某氏の監査役への発令は、一言で言って厚顔無恥なことである。金大中(キム・デジュン)大統領が公務員の人事において公正を期するよう強調したのが、去年12月29日のことだった。「能力、改革性、清廉さを人事の基準にし、地縁、学歴、請託を排除しなければならない」というのが、金大統領による指示の内容だった。ところが、それから僅か4日で大統領府の行政官が天下りで政府傘下機関の要職に任命された。

現政権が国民をばかにしているとの証拠であり、このような現実を嘆かざるを得ない。公正な人事を約束していた数日前の大統領の指示は、名ばかりのものにすぎなかったのか。金某氏は、大統領府で政務秘書官室、民政秘書官室を経て、最近までは民生秘書室で勤務していたということで、専門性を備えた人物とは言いがたい。特定地域の出身であるうえ、年令も、政府傘下機関の監査役としては若いと言える40代初めであるため、いろいろな面で政権末期に現れる「側近に配慮した人事」としか言いようがない。

勤労福祉公団の労働組合は昨日、「今後の人事においては、役職員の意見を反映させる」という理事長の約束を条件に、金氏の監査役発令に反対する座り込みを解除したという。しかし、労使間交渉の結果がどうであれ、金氏の釈然としない天下り人事が白紙に戻るわけでなはい。

我々が懸念することは、さ細なことのように見える今回の人事がややもすれば、金大統領の「公正人事の指示」を色あせたものにし、ひいては、国政専念の意志までも弱めかねないということだ。口では原則と公正性を強調しながらも、実際には過去の慣行を繰り返すのは、公務員社会の秩序を乱し、権力に対する国民の不信感をあおるだけである。ただでさえ、すでに公務員社会をめぐる派閥づくりのうわさが広がっている中、今回の事件を見守った国民のうち果たしてだれが大統領の約束を信じることができるのだろうか。金大統領が約束した超党派的な国政運営という大義名分も水の泡となりかねない。

現政権に変わって、地域感情も一層悪化し、国民の団結に失敗したもっとも大きな要因が人事の失敗にあることは、政権側も認めている事実である。さらに、権力機関の要職の偏重人事が各種のゲートなど、「腐敗コネクション」の温床になったことも否めない。

このような状況で、新年早々からまたもや、天下り人事をめぐる騒ぎが起こるとは、あきれるばかりだ。今回の人事が、大統領が口にする「公正人事」の原則に反するものなら、今でも白紙に戻すべきである。