金大中(キム・デジュン)大統領の親族がかかわった不正事件が明るみに出ている。各種のゲートと関連して、息子の名前があがったが、今回は義理の甥である李亨澤(イ・ヒョンテク)氏が不正にかかわったことが確認された。
G&Gグループの会長、李容湖(イ・ヨンホ)被告に、珍島(チンド)近海での宝物引き揚げ事業を紹介したとされる李亨澤氏は、単なる紹介を超え、事業に深く介入したものとみられる。 李容湖ゲートを捜査してきた車正一(チャ・ジョンイル)特別検査チームによると、彼は収益の15%を受け取る契約を結び、公証までしていたことが確認されたという。
李亨澤氏が持つことにした15%は、事実上最大の配分だということで、彼が事業を主導することにしたのと同然だ。彼が国家情報院など、いくつかの国家機関の支援を求めていた手がかりもつかんだ。李容湖ゲートの本質は結局、権力の中核とつながった大統領の親族による不正事件だという疑惑をぬぐい難くなった。
李亨澤氏は去年の国会国政監査で「天を仰いで恥じるところが少しもない」と潔白を強調していたので、国会で偽証し、国民には真っ赤な嘘をついた結果となった。
前政権から、金大中大統領の「秘密資金の管理人」と目されていた彼は、新政権の発足後には、後輩が巨額の資金を証券会社に誘致して16億ウォンの報酬を受ける上で、影響力を行使したなどの疑惑を持たれていた。こういう中で、彼が「宝物引き揚げ」という世間を惑わすような事業に乗り出し、小口投資家にばく大な被害を与えるなど、国中を揺るがした。
だとすれば、去年李亨澤氏を容疑なしとした検察の行動を、どのように理解すればいいのか。結局は、大統領の義理の甥に対する「手抜き捜査」ではなかったのかと、疑問を持たざるを得ない。
不正が明らかになった関係者に対しては、断固として責任を問わなければならない。金大統領はこのほど、不正の一掃に政権の運命をかけると述べた。このことばが説得力を得るには、親族など大統領周辺の不正から、まずはっきりと一掃する必要がある。
おりしも、青瓦台(大統領府)も真実が徹底的に解明されることを期待すると発表した。しかし、あらゆる親族介入の不正事件を、李氏個人の問題で片づけることがあってはならない。世間では未だに大統領の名前が取りざたされている。誰でも、不正疑惑が明らかになれば、徹底的に解明されなくてはならない。
親族がかかわった不正は、大統領の国政運営に大きな負担となるに違いない。前政権からの大事な教訓だが、現政権はこれを忘れていた。大統領の親族は少しの疑惑の余地も残さないとの決心で、常に気をつけなければならない。金大統領も、このような状況を招いてしまった責任から逃れるわけにはいかないだろう。