金大中(キム・デジュン)政権発足以降、法務部長官と検察総長は概して湖南(ホナム)出身の総長に非湖南出身の長官、あるいは非湖南出身の総長に湖南出身の長官の構図をなしていた。愼承男(シン・スンナム)総長が弟に関連した捜査の過ちの責任を取って辞職した後、韓国史上初めて非湖南出身の長官と総長の体制が整ったが、政府は結局長官を更迭してしまった。
大過なく長官をつとめるという評価を受けていた崔慶元(チェ・ギョンウォン)長官を8カ月で更迭したことをめぐって争いが続いているが、その本質は政治権力が検察を掌握しようとする意図が依然として存在することだと思う。愼承男氏が引き続き検察総長をつとめていたならば、崔長官は更迭対象からはずされたであろう。このように長官や総長のうちどちらかが必ず同じ地元出身でなければならないという風土では検察の独立はまだほど遠い。
法務部長官は検察事務の最高監督者であり、検察の人事権者である。崔前長官が検察幹部の人事をめぐって大統領府(青瓦台)との間で意見の食い違いがあったために人事が遅れたという報道について、法務部はその事実関係を否定しているが、検察の人事が遅れている状況で法務部長官が予想に反して更迭された背景にはなんとなく釈然としないところがある。
目の前に山積みされている各種「ゲート」に対する捜査を徹底させるためには、ソウル地検と最高検察庁の捜査ラインの人事はきわめて重要な意味合いを持つ。このような点から、 宋正鎬(ソン・ジョンホ)長官、李明載(イ・ミョンジェ)総長が近く踏み切る検察幹部の人事に注目したい。
特別検事の所管である李容湖(イ・ヨンホ)ゲートを除いた他のすべてのゲートを、一つの疑惑も残さずに徹底的に捜査できなければ、またも検察捜査が特別検事の対象になりかねないという悪循環が繰り返されるだろう。縁故やゆかりにとらわれる人事では、捜査結果に対する信頼を得がたく、検察内部の融和も期待できない。何よりもゲートの縮小やもみ消し捜査に少しでもかかわった人は辞任するか、少なくとも捜査ラインから除外されるべきである。