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[オピニオン]集団利己主義が経済をだめにする

[オピニオン]集団利己主義が経済をだめにする

Posted February. 05, 2002 09:29,   

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韓国の株式市場が活気を帯びている。外国人投資家らが韓国経済の見通しを明るいと見込んでいるからだ。だが、わたしたちの心の中には一抹の不安をぬぐい切れずにいる。政治家の声が次第に高くなっているためだ。国家経済の未来よりは、目先の得票戦略ですべての経済懸案問題にアプローチしようとする政治家が、地方選挙や大統領選挙を通してどれだけ韓国の経済環境を汚染させるかを懸念しているのだ。

1997年の通貨危機も、政治家に相当部分その責任があった。年末の大統領選挙をひかえて現われたレイム・ダック現象は、経済政策を無力化させ、その結果通貨危機を招いたのだ。こうしたレイム・ダック現象は、政治家の政権争いでさらに深刻になり、政界は各種の利害関係に折り合いをつけなければならない政治本来の機能をそう失した。政治家はむしろ得票戦略にばかり没頭し、社会構成員間のかっとうを助長し、こうした政治論理は政府が互いに矛盾する政策の執行と実効性のない政策の乱発を招いた。

このような状況下では、官僚社会がことなかれ主義の態度を見せ、各経済の主体が集団利己主義のレベルで非合理的な態度を取るのは、えてして当然なことかも知れない。1997年当時、韓国経済の対外信用度を大きく落とした起亜(キア)自動車の処理過程で見られた混乱がまさに、政界の政治論理と行政当局の所信のなさが同時に現われたものだった。

金大中(キム・デジュン)大統領は年頭に韓国経済の競争力を世界的水準に高めるという方針を明らかにし、これに関するいくつかの政策案を提案した。こうした政策案は国内外の環境と調和した時にその成果が大きく現われる。まず、対外環境を見ると、世界経済は日本を除いて、下半期からは景気が回復するものと見込まれ、中でも米国の情報技術(IT)産業のバブルがはじけ、IT関連の投資が再び活発に行われるものと予想されている。日本経済と日本円の相場を除いては対外環境はいい方だ。

国内では消費心理がよくなっており、建設と設備投資も回復の兆しを見せている。企業の信用不安が大きく解消され、低金利の基調が持続している中、金融機関の企業貸し出しに対する環境も改善されつつある。ウォンの為替レートと輸出部門が不安要因として残っているが、全体的に国内経済は回復へ転ずる土台作りをしていることが明らかだ。

だが、もっとも不安な伏兵が残っている。それは政策の一貫性に関する問題だ。97年の経験を通じて、レイム・ダック現象と大統領選挙が政策の一貫性にどのような悪影響を及ぼしたのかはよくわかっている。経済政策とは交差点の信号と同じようなものだ。交通信号が一貫性を保てば安定して作動し、交差点の交通秩序が維持される。経済政策が一貫性と安定性を失えば、経済秩序に混乱を来たし、企業の投資活動や家計の消費活動はわい曲されたり萎縮してしまう。

ところが、最近現われつつあるさまざまな状況にただならないものが感じられる。とくに、大手企業の立場を代弁する政治関連の主張が高くなっており、某財閥グループの会長が政治資金に対する所信を明らかにしたことなどはかつてなかった。労働者集団、教員集団、医師や薬剤師集団、農・漁民の集団など集団利己主義に経済政策の一貫性が損なわれるのをこれまで見守ってきた側として、財閥と全国経済人連合会(全経連)の力強い主張まで耳に聞こえてきて、どうも経済政策が不安定なのではないかと懸念せざるをえないのだ。

対内外の経済環境がほぼ良好だとしても、各種の利益集団の相反する主張を国家利益という共同善のレベルで調整できなければ、経済政策の一貫性は損なわれ、それによって経済回復のスピードも遅れ、金大統領の年頭構想もただの希望にとどまってしまうだろう。だから、97年の苦い経験を教訓にして、下記のことにみんなが努力を傾けなければならない。

まず、行政当局が政治論理に振り回されないように励まし、保護しなければならない。利益集団の自分中心の集団行動から政策当局者が受ける圧力を国民が未然に防ごうということだ。もうひとつは、政治家に対する監視機能をさらに強化しなければならない。いわゆる大統領選挙の予備候補者らの発言を常に気をとめて、かれらの論理構造と論理の一貫性を分析しようというのだ。相反する矛盾した論理を発見し、各種のマスコミを通じて、彼らの実体を国民に知らせようではないか。

この二つの努力にはマスコミ、市民団体、識者らの連帯が必要だ。こうした努力が可視化すれば、各種の利益集団とその票を意識した政治家が経済政策の一貫性を損なうようなことは大きく減るだろう。

金廣斗(キム・グァンド)西江(ソガン)大学教授(経済学)