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[オピニオン]見え透いた「ことば遊びの政権」

[オピニオン]見え透いた「ことば遊びの政権」

Posted February. 07, 2002 09:37,   

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国民の忘却能力を、マスコミを通じてうまく使いこなすのは、政治テクニックの一つである。一般の市民は、マスコミを通して世の中の出来事を知ることになるが、マスコミはその属性上、絶えず起きる事柄についてすかさず報道しなければならないため、それに接する読者や視聴者は昨日のことを今日忘れ、今日のことを明日また忘れがちになる。そのため、何か厄介な問題が起きると、1週間だけ耐えてみようというのが政権の不文律として、伝統のように根づいている。

最近、権力層の腐敗問題が芋づるのように次々と発生すると、危機に追い込まれた権力層が改革という処方で、もう一度国民の忘却能力を利用して、局面の転換を図ろうとしたのもその一例に含まれる。

ところがこのようなテクニックの成否は、もっぱら問題を正直に取り扱うかどうかにかかっている。今回の場合、内閣の再編が懸案問題の解決に成功的であったとの評価を受けることができたとすれば、所期の成果は収められたはずだ。ところが、その意図が問題の本質とはかけ離れたところにあったことがあまりにも明白に現れたために、事態は収まるどころかさらに悪化した結果として裏目に出てしまった。正直でない者は、ことばと実際が異なるものだが、よくこの政権の属性として挙げられる表裏不動の現象が、今回も遺憾なく発揮されたところにその原因がある。

今回の内閣再編の特徴は、法務長官の更迭と大統領府の政策特別補佐官の任命で代表される、防衛と突破にあった。権力の中枢に向かっている各種不祥事の波長を最小限に抑えたいとする意図と、全般的な支持率の下落を南北問題を突破することで解決したいとする意図がそれである。この事をめぐって内閣再編に臨む弁は、政治を離れ国政に専念するためだということだった。政治と国政が、概念そのものとしてどのように区別されるかはさて置くとしても、人事権、予算執行権、政策決定権をもつ者としての行為が、どうして政治ではないと言えるのか、皆目見当がつかない。内閣の再編は政治行為である。だのに、そのような政治的意図による内閣再編で、今の状況が変るものと考えるとすれば、大きな勘違いだ。一方の問題は防御壁を超えており、もう一方の問題は策略で乗り越えるには、障壁があまりにも高くなってしまった。

それもそのはずと言えるのが「国民の政府」とした際、その「国民」が問題だからだ。これまでの経過から見ると「国民」とは、帝王的権力と言われる通念からみられるように、ずばり「わたし」を意味するものであり、したがって事実上の「国民の政府」は、すなわち「わたしの政府」といって当然の現実であることを踏まえると、正にあの無所不為の「わたし」が、今では腫れ物が全身に吹き出てしまったような状況に置かれているからだ。

外交問題にしても、対北朝鮮問題をめぐって韓国と米国が、互いの国益を追求することにおいても多少の違いこそあるものの、根本的に「包容政策」には意見が一致していると説明しているが、果してこのことばを信じていいものか、じっくり考えてみるべきだ。米国の政策は包容ではなく、関与あるいは介入政策であり、政府のいう包容政策は柔和政策である。この違いは大変なものなのだ。ただ、両方とも対話の窓口を開けているという点で政策の一致点があると言えるかもしれないが、政策の本質においては、全く一致点を見出し難いのが事実である。

米国のブッシュ大統領が新たな対テロとの闘いで、北朝鮮を含めて「悪の枢軸」といったことで議論が分かれているが、注目すべきところは「軸」という言葉にある。これは、世界規模の戦争のレベルで使える規定である。とすれば、北朝鮮の問題を世界レベルで取り扱いたいということであり、そのために世界的なレベルで政策手段を動員するとの意図を表したものとして受止めざるをえない。

そして、それが軍事的な面に偏っているために、韓国政府が社会、経済、文化的な次元で包容に努めることには反対しないとしても、それが度を越して世界的な安全に影響を及ぼす北朝鮮の軍事力ないし体制の強化につながるとすれば、これは米国として黙過できないとする立場である。

ことばの遊びが通ずる舞台は、もはや消え去った。とはいえ、機先を変えそうにもない。体質からして、それは不可能だ。時間は、しかし今年の夏までは残されている。政治的にこれは短い時間ではない。それまでに、2つの国際的なスポーツイベントを通じて経済に希望をもたらす一方で、新たな対北朝鮮戦略を設けては体制を組み直して、再び政権創出を図るものと予想されるが、運がついてくれるかは誰にも分からない。苦しいドラマが、これから始まるに違いない。

ノ在鳳(ノ・ジェボン、元首相)