9・11テロ事件で崩壊したニューヨークの世界貿易センターの残がい鉄筋が、再加工品の原料として使われるため、韓国に持ち込まれ、その中にニューヨーク市民に愛されていた有名な彫刻作品も含まれていたことが明らかになり、アメリカの文化芸術界の人たちを中心に同彫刻の「救命運動」が繰り広げられている。
「Bent Propeller」という名のこの彫刻像は、貿易センター前の広場に設置されていた鉄製彫刻で、世界的な彫刻家であるアレクサンダー・カルダーの作品だ。
貿易センターが崩壊した時、この彫刻像も倒壊し、ビルのつぶされた鉄骨と一緒にくず鉄として韓国に輸出されたが、アメリカ文化芸術界の人たちは、後でこのことを知り、救命運動を繰り広げている。また、アメリカの公営ラジオ放送など米マスコミのホームページにもこのことが報道されている。
▲彫刻を探せ〓現代機械文明を象徴するこの彫刻は、世界貿易センターの7番建物(47階建て)の前の広場に1970年に設置された作品で、高さ7メーター、厚さ1.5メーターだった。ツインビル崩壊の余波で下敷きになっていたこの作品の一部は、現地で収拾され、現在ニューヨーク港湾当局が保管している。
残りは、建物の残がいとともに韓国とインドに売られたという。これを受け、去年末から同彫刻を作ったカルダーの孫とミュージカル作者のビクトリア(38、女)らを中心に、海外に持ち出された彫刻の残がいを探す運動を繰り広げている。
最近韓国を訪問し、米大使館、鉄鋼メーカーなどを訪問しているビクトリアさんは、「作品はすでに破損されたが、作品の残がいを集め、復元展示する計画だ。これは、残がいの中から不死鳥が生き返ってくるのと同じ意味を米国民に与えるだろう」と話した。
▲搬入現場〓8日午後、仁川(インチョン)港の岸壁には、ほとんどが貿易センタービルの残がいであるくず鉄約4万6000トンを積んできた貨物船チノス号(5万トン)がてい泊しており、この船からくず鉄を降ろすために港湾労働者がせわしく動いていた。
くず鉄の輸入業者はソウルの東国(ドングック)製鋼で、これを電気炉で溶かし、鉄筋アングルなどに再加工する予定だ。
くず鉄輸出業者である米国のヒューゴニューの韓国支社関係者は「くず鉄は、貨物船に積みやすくするためにつぶしてあるので、仮に彫刻像が輸入くず鉄に混じっていたとしても発見するのはむずかしい」と話している。
朴喜梯 min07@donga.com