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[トラベル]「自然が優先」原始林を守るペルーの狭軌

[トラベル]「自然が優先」原始林を守るペルーの狭軌

Posted February. 16, 2002 11:31,   

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かつて、インカ帝国の首都だったクスコから北西方面に100キロ離れたマチュピチュに向けて走る電車の車窓から、しきりにかさこそという音が聞こえてきた。電車の線路脇に生える藤やヤシの木など、さまざまな亜熱帯林の小枝がすれ違う音だ。アンデスの「腰部」に沿って森の側を走り、インカの「心臓部」に向かうこの電車は、その幅が僅か80センチ足らずの、超スリム型である。線路の幅が狭いのは「地球の肺」と呼ばれる、南米アマゾンの熱帯雨林が始まるところが、マチュピチュに近いペルー東部地域であることと関係がある。「アマゾンのまゆ毛」と呼ばれるこの地の、亜熱帯植物が生長できる空間を最大限確保するため、収入が減るのを覚悟の上、線路を狭くしたのである。

実際のところ、線路を狭めるほど山の道程は険しくない。この地域は、海抜3500メートルの地点にあるクスコより1000メートル以上低地にあるため、アンデスには欠かせないあの万年雪もない。遠く万年雪を頂いた、海抜5750メートルのベロニカ山が見えるだけだ。

この電車を運営している「ペルーレール(perurail)」のアントニオ・ロぺズ運行室長は「線路の幅をこの電車の1.3倍程度の、通常の幅にして電車を走らせていれば、乗客にコーヒーとサンドイッチなどを販売する売店の面積も、それだけ大きくなっていたはず」として「線路の幅を狭く設計したおかげで、10平方キロあたりおよそ5000本の亜熱帯植物が、余計に生長できるものと推定される」と説明した。

「アマゾンのまゆ毛」を守るためのペルーの人々の努力は、ほかにもある。クスコからペルー最大の観光資源であるマチュピチュの間を結ぶ自動車道はない。最近、片道4時間の電車旅行が退屈な人々のために、100キロの道程を20分で走破する営業用ヘリコプターも登場しているが、今のところ、この地域にアスファルトを敷くという話は聞こえてこない。

インカ帝国の頃から、限られた土地を最大限に活用するため「アンデネス(andenes)」という、独特の棚田を開発したペルーの人々。彼らが損をしてまで守り抜こうとしている「アマゾンのまゆ毛」は「アンデネス」のように、たとえ少しの土地でも大切にする彼らの自然観が反映されている。

今から10年ほど前に、今にも崩れ落ちそうな急斜面の側を流れるウルバンバ川に水力発電所を完成させることができたのも、自動車の通行を制限するなど、森林を戦略的に育成したからにほかならない。

16世紀に途絶えてしまった、マチュピチュを頂点とするインカ文明最大の謎は、車輪を使わなかったということだ。どのようにして車輪を使わずに正方形に切り出した巨大な石材を、2250メートルの山頂にあるマチュピチュなどに運ぶことができたのかということである。

しかし500年あまりを経た現在、彼らの末えいのペルー人たちも、やはり現代の交通手段による恩恵を果敢に減らして、ここ「アマゾンのまゆ毛」とともに生きる道を選んでいた。今日、世界中からあれほど多くの観光客が訪れているにもかかわらず、依然として経済的に決して豊かとは言えないペルーの人々が、山と森林を立派に守りぬいていることについて、後世の人々はこれもまたミステリーのひとつ、というかもしれない。