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「フィギュアの美しい最下位」イ・チョングン、ヤン・テファ組

「フィギュアの美しい最下位」イ・チョングン、ヤン・テファ組

Posted February. 19, 2002 09:26,   

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銀盤の上には、ビゼーのカルメンが流れていた。

欧米の選手らが支配するフィギュアスケートのアイスダンスで珍しい東洋人カップルは、真しな表情で演技に入り込んだ。二人は音楽に合わせて軽快にステップを踏んでいった。いち、に、さん…。リズミカルで時には思い切った演技だった。

一瞬のミスはあった。パートナーのスケートの刃にズボンがひっかかり一瞬流れが崩れた。しかしそれにも全くおじ気づかないこのカップルは、さらに明るい表情と力強い動きで銀盤を滑りぬけた。

演技が終わり音楽が止まった。観衆は歓声と拍手を送り、アイスリンクの上には観衆が投げた花束が散らばっていた。二人は熱狂的歓声に4度も頭を下げてあいさつし、感謝の意を表した。

そして、電光掲示板には6点満点の4点台の点数が表示された。4.0、4.1、4.2…。3.7の点数をつけた審判もいた。しかしこのカップルの顔は幸せな笑みでいっぱいだった。「だってオリンピックじゃない。」

18日、アイスセンターで開かれたフィギュアスケートのアイスダンス・オリジナルダンスに出場したイ・チョングン(22)、ヤン・テファ(20・以上漢陽大)組。

2日前のコンパルソリでも24チーム中最下位だったイ、ヤン組は、この日もビリに終わったが、試合が終わった後の顔はとても明るかった。ユ・ジョンヒョンコーチも「上手だったぞ」と二人の背をポンとたたいた。

イ・チョングンは「残りの部分ではミスがなかったのに、よりによってあの時ズボンがひっかかるなんて。むしろ練習の時にそんなことが起こって欲しかったな。こういうのを『マーフィーの法則』と言うんですよね」と笑った。

アイスダンスは、韓国ではまだマイナーな種目。イ、ヤン組を含め、国内に3組(2組はジュニア)しかいないほど、選手層が浅い。当然、連盟の後ろ盾は少なくファンの関心度も低い。いわゆる「非人気種目」のひとつ。

このような事情から、国際大会に出れば寂しい思いをすることもしばしば。最近の「判定スキャンダル」で明るみに出たように、フィギュアスケートは、審判が順位を絶対的に左右する種目だが、アイスダンスの「不毛地」韓国は、ただ1人の国際審判もいないため、不利益を被りやすい。

このような状況でも史上初のオリンピックチケットを手にしたイ・チョングン、ヤン・テファ組は、大した選手と言える。「オリンピックに参加できたのは本当に奇跡」というコーチのユさんは、オリンピックに先立って二人に「楽しんで滑ってくれ」と頼んだという。

「新しい世界が開かれました。多くの観衆とアイスリンク、そしてフィギュアを愛する人たち…。一方では不思議な感じもしました。私たちがこんなたくさんの観衆の前で拍手を送られる日がいつ来るだろうかと。私たちは7年間よちよち歩きをしてきたにすぎません。他の国の選手の演技を見て、自分たちに足りない点が多いと痛感しました。多分たくさん学べという意味で私たちにオリンピック出場の機会が与えられたのでしょう」

オリンピックの舞台に上った感動を淡々と語った「美しい最下位」イ・チョングン、ヤン・テファ組。二人は19日、フリーダンスに出場する。



ssoo@donga.com