Go to contents

[オピニオン]バーバラ女史の青瓦台晩さん会

[オピニオン]バーバラ女史の青瓦台晩さん会

Posted February. 19, 2002 09:25,   

한국어

ブッシュ米大統領の母バーバラ・ブッシュ女史が1994年に出版した回顧録には、92年1月に夫のブッシュ大統領とソウルを公式訪問した際の、短いエピソードが載っている。

「国賓としての公式晩さん会の席でノ泰愚(ノ・テウ)大統領は、私たちの結婚47年を祝うために大きなケーキを用意しました。私の右にはノ大統領が、左には○○○○が座っていました。私は○○○○に、英語が話せるかと聞きました。そうすると彼いわく、そのとおりに正確に言いますと「あなたとコミュニケーションができません(I can not communicate with you)」と言うのです。そして、その人は黙ってしまったのです。曲りなりにも、英語を耳にしたわけです。ほかの晩産会でお会いした私の韓国人パートナーたちは、英語を一言も話さなかったと記憶しています」(バーバラ女史は、もちろん○○○○という肩書を明記している)

バーバラ女史自身韓国語ができない上に、英語で話し掛けてくる人がいなかったので、結構歯がゆい思いをしたようだ。よくあることだが、あのような席では相手についてさまざまなことを想像したり、ひどい場合には誤解をすることもある。

昨年1年間、ソウルとワシントンの間には「ことば」がうまく通じなかった。ワシントンでは、以前から朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の大量破壊兵器(WMD)と通常兵器、人権問題を取り上げていたにもかかわらず、韓国政府は専ら平壌(ピョンヤン)の方ばかり見ていた。韓国は太陽政策で耳が遠くなり、米国はテロ問題に気を取られていた。両国は、心からのコミュニケーションができず、寝言のように外交的な修辞ばかり並ベたてたあげく、結果論として誤解と不信感ばかりつのってしまったのだ。

南北が、和解と不可侵、交流と協力に関する合意書を採択するなど、韓半島に「東風」が吹いていた92年1月初めごろ、ソウルで当時のノ大統領とブッシュ大統領が首脳会談を開いた時も、同じような雰囲気だった。ブッシュ大統領は、まるで統一でもしたかのごとくに浮かれている韓国政府とは逆に「紙の上の約束で平和は守れない」と、冷ややかな反応を見せた。米国共和党政権が北朝鮮の体制に対して抱いている敵対感情は、根強いものがある。

そのブッシュ大統領の息子が今日ソウルを訪れる。単独会談、拡大首脳会談など、4回にわたって対座する両首脳の公式的な会談内容は、当局やブッシュ大統領の訪韓に先立って行われた記者会見などを通じて、すでに知らされている。両国は、同盟関係を再確認するとともに、一層の協力を誓ったと言うだろう。金大中大統領は、北朝鮮のWMDに対する米国の批判と懸念に同意を表明して、ブッシュ大統領は韓国の太陽政策を支持するに違いない。両首脳は、朝鮮半島の平和のためには北朝鮮が一日も早く対話に応じるべきだとして、北朝鮮側に対話を促すことだろう。

ところが、このように決まり文句のような話を聞いて、北朝鮮に対する両国の根本的な意見の食い違いとかっとうがいやされたと思う人は誰もいない。同胞と民族という血縁的な情ぎと、利害関係に敏感な米国の厳しい思考とが調和を成すのは、根本的に難しいことである。米国がいくら北朝鮮を「悪の枢軸」と規定するとしても、韓国政府の見方はそれとは違うのだ。今回の首脳会談が、両国のこのような認識の差をどこまで縮められるだろうか。

各論も同様。米国は北朝鮮との対話を協調しているが、その対話のカラーと内容は、太陽政策の対話とは全く異なる。韓国は、北朝鮮との対話そのものだけでも韓半島の平和に役立つだろうと前提しているが、米国は、対話のための対話は行なわないと断言している。対話の概念に対する、このように本質的な差異を持ったまま、韓米両国がどうやって北朝鮮との対話を進めるというのだろうか。北朝鮮の通常兵器を休戦ラインから遠ざける一方、人権も改善すべきだとするブッシュ大統領の主張も、太陽政策にとってはさほど重要な内容ではない。北朝鮮のWMD問題は、米国があまりにも声高に呼びかけたため、韓国政府もようやく関心を表明している、といった程度だ。

韓半島の平和と安定が、韓米両国の第一の目標であるということには、誰も異論を唱えていない。その、平和と安定を維持できる最も重要な手段が、両国の同盟と共同の努力である。最近のかっとうは、両首脳の華麗な笑みと握手、そして外交的な修辞により、とりあえず落着くだろう。しかし、率直に言って論議の接点が見えない。互いの「テンポ」が、これほどまでずれたのは珍しい。このままでは、ゆるぎない共同の努力も同盟も、ろくに維持できそうにない。

金大統領とブッシュ大統領は、何としても今回の首脳会談を通して、問題解決に向けた糸口を見出さなくてはならない。直談判で一挙にすべての解決策を講じろというのではない。徹夜をしてでも、対北朝鮮政策の「テンポ」を合わせられる十分な意見交換を行なってほしいということだ。そのような、真しな対話ができるとすれば、それだけでも今回の首脳会談は、充分な成果を収めたものと評価されるに違いない。

南贊淳(ナム・チャンスン)論説委員



chansoon@donga.com