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[オピニオン]輸出増大のための提言

Posted February. 25, 2002 09:29,   

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第2次世界大戦後の50年間、世界の実質的な国内総生産(GDP)は7倍増加し、貿易量は17倍増えた。世界各国が「輸出こそは生き残る道だ」としてわれ先に輸出増大に主力してきた結果だ。とくに、最近の世界市場は輸出しようとする商品であふれ、国家間競争は激しくなる一方だ。

こうした現象によって、世界各国は地理的に隣接している国家間の経済統合や隣接国家でなくても自由貿易協定(FTA)を結び、自国の輸出を拡大させる一方、通商利益を増加させようとするケースが急速に増えている。現在結ばれているFTAだけでも162件もあり、交渉が進行中のFTAも数10件ある。欧州連合(EU)とメキシコの場合、各30件以上の協定を締結し、経済的なイニシアチブを得ているのに反して、韓国は残念ながらたったの1件のFTAも結べずにいる。

地域主義の要諦は、世界貿易機関(WTO)を主な軸としている多国間主義の規範を離れて、相互貿易の障害物となっている関税と非関税障壁を引き下げて、相互恩恵にあやかろうとしている。それだけに域外諸国は差別待遇という相対的な不利益を甘んじなければならず、地域主義の拡散はすなわち、韓国商品が輸出市場で甘んじなければならない不利益が大きくなるということを意味している。

世界貿易の統計によると、EUの場合、経済統合が進むにつれて、域内諸国間の輸出の割合がすでに63.5%(2000年基準)にのぼっている。北米地域もやはり、北米自由貿易協定(NAFTA)の発足以来、域内輸出が拡大し、その割合が1990年の40.6%から2000年には54.1%に高まった。充分な競争力をそなえたものと判断される韓国製品が海外市場で一歩も踏み出せないケースが、これからはさらに頻繁に起きるのではないか、と懸念される。

これに対する反省として、最近国内でFTAに対する議論がかつてないほど活発に行われている。遅ればせながらも歓迎すべきことだ。だが、わたしたちのFTA議論はまだ総論の水準にとどまっており、これを本軌道に載せるための各界の努力が一層強化されるべきだと思う。とすれば、FTA協定推進の成功のためにはどのような努力が必要だろうか。

第一に、政府がFTA推進に関する政府の意志をより明らかに示さなければならない。FTAの推進は、対外的には交渉のテーブルに臨み、対国内的には利害当事者を説得してコンセンサスを得なければならないという両面性を持っているだけに、政府がまず基本方針と目標を設定し、ち密な準備と世論の調整に乗り出すべきだ。

そのためには、FTA推進のための特別法を制定したり、汎政府レベルの専門担当機関を設置するなど、協定推進システムを整備することが望まれる。また、産業界、学界をはじめ、各界のさまざまな意見をまとめて、FTA専門家をより多く輩出するための政府や民間の努力も要望される。

第二に、農産物開放に対する多角的な対応政策が必要だ。韓国とチリ間のFTA交渉がこう着状態になっているケースから分かるように、農産物開放を除外したFTA締結の可能性は、現実的に多く望めない。農産物開放は、FTA推進においてもっとも大きな課題だという点で、農政当局が対象優先順位の選択をはじめ、FTA戦略樹立に最初の段階から積極的に参入しなければならない。

農政当局はとくに、FTAがもはや選択の問題ではなく、生き残りの問題だという認識を持つことで、農産物開放の留保措置は国内農家に広範囲な被害が予想される一部の品目に限定する、という積極的な姿勢で臨むべきだ。輸入増加が大きくない農産物まで開放を留保すれば、これは部分的な利益のために全体の国益を犠牲にする結果を招くだろう。

最後に、FTA推進支持グループとして、産業界の役割も強化すべきだ。米国の場合、主要企業の最高経営者で構成された「ビジネス・ラウンド・テーブル(BRT)」をはじめ、さまざまな団体で米政府と議会にFTA締結の拡大を積極的に働きかけている。こうした活動は米国がNAFTAに引き続き、イスラエル、ヨルダン、チリ、シンガポール、ニュージランドなどに向けてFTA対象国を増やす推進力となっている点で、韓国の産業界に示唆するところが大きい。

韓国のGDP対比貿易依存度は73%と、世界的にみて非常に大きい。これを考慮すれば、汎世界的に進められている地域主義の流れの中で、韓国はすでに大きく遅れている。また、世界経済の大きな流れは、わたしたちが見て見ないふりをしたからといって、避けて通れるようなものではなく、これをどれだけ積極的に受け入れるかに、韓国の輸出増大、ひいては韓国経済の将来がかかっている。FTAに対するより真剣な対策作りと推進が非常に重要な時期である。

キム・ジェチョル