全国教職員労組(全教組)所属の教師約9万人が政府の発電所民営化計画に反対して、4月2日に早退闘争をすることにした。同日のストは、全教組の上級労組である全国民主労働組合総連盟(民主労総)が発電所の民営化と関連して行うゼネストに全教組が参加する形で行われる。教師らは同日午前中の授業を終えて、一斉に早退した後、集会に参加する計画だ。
この早退闘争に生徒の父母らは驚きを禁じ得ずにいる。生徒たちが授業欠損の被害を被るのはもちろん、教育現場が政治に振り回されるのではないかと不安がっている。あれこれの事情は別として、そもそも全教組の活動と発電所の民営化とが何の関係があってストに参加するというのか、唖然となるばかりだ。
今回のストは二つの点で間違っている。第一に、不法な団体行動だ。全教組は生徒を教えるという公益業務であるという面から、一般労組とちがって労働三権のうちストなど団体行動権を持たない。教員労組を発足した際、教育の特殊性を認めて政府と教師側が相互合意した事項だ。
だが、今回は表向きは早退運動だとしているが、内容的にストに他ならないというところに問題がある。同日、全教組と同じように連帯闘争に参加する金属公共労組などは「スト」であることを明確にしている。両者の行動が結局同様の性格を帯びているとすれば、全教組の早退運動も事実上「スト」であり、したがって明らかな不法だ。
第二に、教師の本分をないがしろにした。授業の途中に教師が生徒を後にして、直接関係のない労働紛争の現場に行くというのは、だれが聞いても納得し難い。教育政策の混乱が進み、公教育の荒廃化が問題視されているなか、教師にとってもっとも重要で急務なことは、教室を守ることではないだろうか。
まして全教組は、訓話と共同授業を通じて、生徒たちに発電産業問題について正しく理解できるようにすると発表している。世間のことに疎い生徒たちに何をどう理解させるというのか、父母の懸念は深まるばかりだ。