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[オピニオン]相手をけなせば勝つのか

Posted April. 12, 2002 09:37,   

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長くて1年、短くてもこの1ヵ月の間に、韓国政治に大きな変化の渦が巻き起こっている。市民団体は、一昨年の4・13総選挙で落選運動を強力に繰り広げ、韓国の政党が人的刷新をなす新しい条件を作った。このような流れの中で、与党民主党は、集団指導体制と「国民競選制」という制度的改革を導入し、その延長線で、3月9日の済州(チェジュ)での国民参加の予備選挙を皮切りに、政治革命の火ぶたを切ったのである。

こうなるや、政党民主化を大統領選以降に延期しようとした野党ハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)前総裁も、総裁の職を放棄して集団指導体制を含む全面的な党内民主化措置を受け入れるに至った。これとともに、ハンナラ党も、一昨年、16代総選挙が行なわれた同じ日の4月13日に、仁川(インチョン)市で大統領候補の選出に向けた同党初の国民参加の予備選挙の実施を計画している。

ところで、与野党いずれもが進めている政党改革は「6月抗争」以降、最大の民主改革という学界の評価にもかかわらず、多くの問題点をさらけ出している。なかでも週末ごとに、全国民の期待と興奮のるつぼと化した「国民競選制」の裏で、陰謀論や左寄り論などの旧態依然たるネガティブキャンペーンが絶え間なく続いてることは大きな問題である。

さらに懸念されることは、このような雑音が、地方選挙候補の予備選挙の過程でも、そのまま再現されていることだ。そこでも、ネガティブキャンペーンが主流をなし、これまで与野党の党内予備選挙を終えた約150地域のうち80余りの地域で、自治体の首長候補の選定で落ちた人々が、予備選挙の結果に服従せず、離党するなどの問題が起きているという。

このような状況をみると、一体何のために新しい制度を取り入れたのか疑問に思われる。いや、どんなに民主的な制度を取り入れても、その制度の中で行動する政治家が非民主的に行動するなら、その制度は何の役に立つというのであろうか。

ならば、民主的制度と非民主的行動スタイルの不一致を克服して、政治革命を成し遂げるためには、何が必要なのか。第一に、与野党を問わず、大統領選公認候補の予備選挙に参加するすべての候補者が「負ける準備」をすることを勧める。一般的にゲームの特性をもつすべての競争では、ただ一人が勝者になって、他の候補はみな敗者になるしかない。従って、すべての候補者は、各自自分が負けることもあり、負けた場合、毅然とした態度でそれを受け入れるという覚悟をしなければならない。

第二に、候補者らは、最近進められている政党の民主化改革が、韓国の現代史でいかなる意味をもつのかを正確に理解することを望む。もし、現在の政党改革が、韓国の政治発展を早める画期的な意味をもつことを十分に認識せずに勝利に執着するならば、新しく導入された民主的制度を形がい化させる重大な結果をもたらすことになる。そして、公共の利益を増進するために予備選挙に参加した人々が、「公共の敵」になる逆説的状況が生じることになるのだ。従って、あらゆるネガティブキャンペーンを中止することを求める。

第三に、これとともに各候補者は、韓国が先進国の仲間入りを果たすために、新たな国家ビジョンと政策案を開発することに、より多くの努力を傾けてもらいたい。これまで、候補者らによって提示されたビジョンと政策をみると、複雑な事案への深い苦悩の跡は見受けられない。例えば、公企業の民営化、雇用安定、福祉政策をいかに調和させ、生産性と雇用問題を同時に解決するのか、だれも明快な解決策を提示していない。従って、各候補陣営は、本当に国益と国民の福利を増進できるビジョンを立て、政策開発に渾身の努力を傾けることを期待する。

約1ヵ月先に近づいているサッカー・ワールドカップの成功に向けて、政府は「ダイナミック・コリア(Dynamic Korea)」を国家のスローガンに決めたという。韓国人のダイナミズムを捉えたいいスローガンだ。しかし、このようにダイナミックな韓国人が、規則を守らず、他人への配慮がなければどうなるだろうか。そこで私は「ノーブル・コリア(Noble Korea・高貴な韓国)」を先進韓国の新たなシンボルに設定することを希望する。

大統領選の予備選挙も同様だ。韓国を新しく跳躍させる候補者らが、強いダイナミズムを発揮し、礼儀を守って相手に配慮し、国民に奉仕する態度を示す時、初めて高貴な韓国を築くことができるのである。先進韓国を築くために、大統領選の候補者から模範を示すことが最も重要だ。

成鍫饠(ソン・ギョンリュン)翰林(ハンリム)大学教授(社会学)