「MASK」「Trueman Show」のジム・キャリーと、「ショーセンク脱出」「グリーンマイル」のフランク・ダラボン監督。二人の名前の結合がどういう結果を生み出すか予測するのは簡単ではない。
映画「マジェスチック(The Majestic)は、人間を人間らしくしない狂気と偏見に対する平凡な人間の戦いを描いたヒューマンドラマだ。この作品の最初の部分には、たまごのスクリーンライターのピーター(ジム・キャリー)が出席したハリウッド映画会社の制作会議が登場する。
「主人公が障害児だって?」
「だめだ。映画が暗くなるから」
「障害児の代わりに犬を主人公にしよう。犬を主人公とした映画はいつも大ヒットする」
この作品は主人公はもちろん、映画自体がめちゃくちゃになるハリウッドの商業主義を手厳しく皮肉っている。
主人公の運命が目まぐるしく変るのは、映画の外でも同じだ。共産主義者の割り出しに血眼となった「マッカーシズム」が幅を利かせていた1950年代初め、米国こそ人間の魂を駄目にする時期だった。この作品は、大学時代、好きな女性を追いかけて集会に参加したという理由だけで、共産主義者と決め付けられたピーターを通じて社会的な偏見がいかに恐ろしいことかを示す。
映画会社と政府側は、ピーターに聴聞会で反省するという声明書を発表し、他の共産主義者の名前を明かすと、これ以上問題にしないとの「取り引き」を提案してくる。これを拒否すれば、ブラックリストに載って作家としての生命は終わりだ。
ダラボン監督は事件とメロドラマ、メッセージを適切に加味し、見ごたえのある作品を作った。かっとうに陥ったピーターはドライブをしていたところ橋から川に転落し、ロソンという小さな町で見つかる。ここは町の青年数十人余りが、第2次世界大戦に参加して戦死した「愛国的」な町だった。町の人々は事故で記憶を失ったピーターが町で小さな映画館を経営するハリーの息子、ルークと似ていると思う。
ピーターは時間が経つにつれ、自分がほんとうにハリーの息子であるかもしれないと思い込み、ルークの恋人だったアデルと恋に落ちる。ピーターは愛する人に先立たれ、傷付けられた町の人たちに希望を与えるために映画館を再びオープンさせる。
映画はダラボンの以前の作品と同様に、苦難に屈しない楽観主義を描いている。共産主義者と疑われているピーターと戦争英雄、ルーク。外見上、二人は正反対の位置にいる。この作品は戦争で戦って死ぬのと、偏見と横暴に追いやられた中、自分の真実を堂々と明かすのが真の勇気であることを示している。作品の完成度も極めて高いが、手放しで評価できないのは、しばしば登場する米国式愛国主義のためだろう。
26日封切り、12歳以上観覧可
金甲植 gskim@donga.com