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[オピニオン]DJ離党の秘密

Posted May. 09, 2002 09:47,   

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3人の息子の不正疑惑に対して謝罪するとともに、残りの任期の間、国政に専念するとして、金大中(キム・デジュン)大統領が与党民主党を離党した時、率直に言って実感が湧かなかった。現職大統領が政権与党を離れるということが、さまざまな重要な意味を持つにもかかわらず、すでに疲れきった多くの人たちは、関心を持たなかった。

謝罪・離党声明を企画した一部の政権勢力としては、期待していた薬効を得るのが困難になった。今回の声明の柱は、息子問題に対する謝罪よりは離党の方にある。間接的謝罪の内容には目新しいことがなかったため、政権勢力側もこの部分では大きな効果を考えていなかった様子だ。それよりは、離党効果の方を期待している様子だが、これもまた何度も言われてきた新しい処方ではないことから、効果の程も薄くならざるを得ない。逆に、現職大統領の政権党早期離党が、今後残された任期9カ月の間に、予想外に政治的気流を複雑にする素地を残した、という点を注目すべきだと考える。

何より、今回の離党は金大統領が積極的に願っていたものとみるのはむずかしい。事実上の政治的武装解除の中、政治人生を総決算する離党発表を朴智元(パク・ジウォン)大統領秘書室長に代読させた形式もそうだが、任期を9ヵ月も残して政権与党を捨てるということは、これまでの金大統領の政治スタイルとは相容れない。何と言っても、政治的掌握力が誰よりも強かった金大統領ではないか。離党したとしても、もう少し時間が経ってから本人が悲壮な表情で自ら発表する方が、より劇的な効果が得られることを知らないような金大統領ではない。

結局、金大統領は、息子の不正疑惑に対する謝罪をするよう圧力をかけられた状況で、離党まで重ねた声明を黙認せざるを得なかったようだ。浮き沈みの激しい政治の道を歩いてきた金鐘泌(キム・ジョンピル)野党自民連総裁が「離党は大統領の考えではなく、背中を押されて余儀なくしたものと考える」と述べたのは、まさに正こくを得ている。6ヵ月前に民主党の総裁を辞任した時も、今回も、金大統領は余儀なく窮地に追いやられた。「大統領が追い込まれるなんて・・・」と反問する人もいるだろうが、前回は党内のもめごとで「身内」の心が離れ、今回は不正事件で国民の心が離れたからだ。任期末の大統領が周囲の圧力に押されることは、歴代政権でもあった。

それならば、大統領に離党を強く勧めた政権勢力は、何を狙っていたのだろうか。離党声明が出るやいなや、与党の一角では民主党の党名を変えようという意見とともに政界再編論が再び頭をもたげた。つまり、大統領の息子たちと権力層から始まった「不正旋風」が、今新たに政治的立場を確立しつつある盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領候補に不利に働いているという危機感からだ。

実際、最近「新民主連合」再編論がひときわ声高に叫ばれているが、これは釜山(プサン)地域を狙ったもので、特に金泳三(キム・ヨンサム)前大統領に向けた求愛作戦の一環だ。地方選挙で釜山市長でも救わなければ、という切迫感の現れだ。このスローガンは、当初盧候補が叫んでいた「新民主改革連帯」から「改革」という言葉がこっそり抜け落ちた物だが、その理由は不透明だ。

ところで、ここで政権勢力が見過ごしたことがある。まず、金大統領の離党が「盧旋風」を圧迫している「不正旋風」を遮断できると考えたならば、それは誤算だ。逆に「不正旋風」はもっと強くなりかねない。権力層の不正がその後も具体的に表面化し続ける素地が大きいからだ。李姫鍋(イ・ヒホ)大統領夫人の名が息子問題と関連して新たに浮上しているのがその一例だ。このような状況は予想できなかっただろう。結局、政権勢力は大統領との間に早く線を引きたいがために、権力層の不正の規模をなるべく小さいものと考えたかったのだろう。実に民の心を知らない安易な発想ではないだろうか。

もうひとつの問題は、「盧旋風」に自ら甘い点を上げすぎたことだ。「盧旋風」は、基本的に民主党内で、李仁済(イ・インジェ)候補という向かい風を受けて上昇した風だ。そして当時のハンナラ党の無気力さまでが重なって最高の上昇効果を演出したのだ。しかし、今や落ち着きを失った国民の気持ちを考えれば、どんな「盧旋風」も「不正旋風」を打ち負かすことはできまい。それならば、金大統領が党職を持っている状態で息子問題と権力層の不正を処理する時間を残すべきだった。それなのに、その戦争に「盧旋風」を動員した勢力は誰か。金大統領を早く追い出しすぎたのは、どう見ても禍根となりそうだ。

さらに大きな問題は、早期離党によって政局が大変流動的になる点だ。心身が極度に疲労した金大統領の「黙示的同意」を受けて、今後の政治日程が政権党の一部の勢力の意図に左右されるがい然性が大きくなったからだ。党内外の状況からして、政界再編も予想通りに進まないと思われる。離党の秘密は、まさにここにある。このような中、離党は妙なメッセージを残した。「政界で自分を作ってくれた人は、また自分を拒むこともできる」というメッセージだ。

崔圭徹(チェ・ギュチョル)論説室長