韓国サッカー代表チームのGK金秉祉(キム・ビョンジ、32、浦項スチロス)といえば、「目立つGK」というイメージがまず浮んでくる。茶髪に、華麗なユニフォーム…。グラウンドに現れると、遠くからも一目で彼であることが分かる。5、6才ぐらいの子どもも、彼を見て「金秉祉だ」と叫んで駆けつけるのも、このような「目立つ」スタイルのためだ。
しかし、このような外見だけで彼を判断するのは、大きな間違いである。韓国サッカーのGKとして頂点に立った彼の現在は、懸命の努力により成し遂げたものだ。忍耐強さとプロ精神が彼の今日を作った原動力となっている。
試合での目立つプレーでヒディンク監督の怒りを買い、これを克服する過程でも、これを確認できる。赴任してからまもなくディンク監督は、去年1月に行われた香港カルスバーグカップのパラグアイ戦で、ボールを蹴ってハーフライン近くまで出ていき相手のOFにボールを奪われたため、失点の危機を招いた金秉祉に、「何を間違っているのか、考えてみろ」と言ってほとんど1年間投入しなかった。
普通の選手なら、このぐらいだとあきらめがちだが、「雑草」のように生きてきた金秉祉はかえって、まい進する機会にした。いらいらするよりは練習に専念した。「プロ」だったためにファンサービスとして見せていた目立つ行動も、思い切ってあきらめ、定石による安定したプレーを展開した。
一度のミスで、ヒディンク監督はなかなか機会をくれなかったが、国内プロリーグで大活躍した。結局去年11月末、再び代表チームのユニフォームを着られるようになり、3月の欧州遠征訓練を通じて、李雲在(イ・ウンジェ)に遅れをとっていた点数までばん回、今や事実上、主力級まで予約したという評価を受けている。
ヒディンク監督も、広い守備範囲と瞬発力において国内最高と言われている金秉祉を手なずける意味で彼に厳しくしたが、自分の計画が成功するとは思わなかった。このごろ「秉祉はうまくやっている」とを連発して満足な顔をしている。
金秉祉は8日に行われた体力テストである「シャトルラン」でも、活動量が相対的に少ないGKであるにもかかわらず128回まで走り、ヒディンク監督から欧州のフィールドプレーヤの水準だという賛辞まで受けた。
金秉祉は「少年の家」の出身で孤児であることが知られていたが、これもサッカーに対する彼の情熱のためだ。密陽小学校4年生の時に初めてサッカー靴を履いた彼は、背が低くて高校1年生の時にあきらめたが、再びボールを蹴るために少年の家に帰ったという。以降、金星算電に務めていた時、勤務と練習を並行しつつ、無名の悲しみを乗り越え、夢を育ててきた。いつも、不利な条件でも実力だけが物を言う」と努力を重ね、今日にいたった。
彼を見守ったサッカー関係者は一様に口をそろえる。「少なくとも40才までは走るだろう」と。大スターになった後も、酒とたばこを口にせず着実にさらなる発展に向けて頑張る姿が「プロの典型」と言える。
梁鍾久 yjongk@donga.com