▲金大統領の長い一日〓金大中(キム・デジュン)大統領が16日、三男の弘傑(ホンゴル)氏が検察に出頭する場面をテレビで見守ったかどうかは確認されなかった。ただ、大統領府の関係者は「金大統領にテレビを視聴しないよう申し立てた」と述べた。
金大統領は、弘傑氏が検察に出頭した直後の午前10時半から、執務室で中小企業特別委員会の業務報告を受けた。予定された時間よりやや遅れて到着した金大統領は、何も述べずに厳しい表情で出席者らと握手を交わした後、席についた。
しかし、金大統領は業務報告の途中、普段のように関心事案について聞き、詰めの発言も20分にわたって行ったと、出席者は伝えた。続いて、金大統領は政策企画首席室からサッカーの2002年ワールドカップ大会(W杯)の準備状況に関する別の報告を受けた。
金大統領が耐え難い苦しい心情をおさえて、このように正常に執務を続けたのは、いかなる場合でも動揺せずに国政に専念したいとの意向の表明だというのが大統領府関係者らの解釈だ。
それにもかかわらず、この日、大統領府本館は終日息詰まるような雰囲気だった。大統領府のある関係者は「これまで、あらゆる苦難と逆境を経験してきた金大統領としては、終生にわたって固く守ってきた自尊心が一瞬にして崩れる瞬間だっただろう」と述べた。
▲李姫鎬婦人〓金大中大統領の夫人、李姬鎬(イ・ヒホ)女史は、16日夕、出席する予定だった在韓米国商工会議所(AMCHAM)が主催する「失業家庭のための後援の夜」の行事に出席しなかった。李女史は、補佐陣が同行事に出席しないことを勧めると、これと言ったコメントをせずに受け入れたという。
李女史は同日、一日中官邸から出なかった。弘傑氏が検察に出頭していた時刻には、テレビをとても見るに忍びなかったようで、秘書陣を呼んで日程を報告させたと、大統領府関係者らは伝えた。李女史は金大統領とも顔を合せるのを避けたまま、ひとりで部屋に閉じこもったまま聖書を読んで祈りを捧げたものと伝えられた。
大統領府のある関係者は「弘傑氏が出頭する前に電話をかけてきた時、李女史は聖書の一句を紹介し、心の安定を取り戻すよう勧めた。李女史は感情の起伏があるはずだが、しっかり自分自身を守っていくだろう」と述べた。
李女史は、弘傑氏が汚職事件にかかわったとされる疑惑が浮き彫りになって以来、しばらくの間ひどく自責していて、口癖のように「早く(大統領府から)出て行きたい」と語っていたが、時間が経つにつれ、官邸内のさ細なちゅう房のことにまで気を配るなど、憂いを忘れるために何かやるべきことを作ろうと努めていたと、大統領府関係者らは伝えた。
李哲熙 klimt@donga.com