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ばかな白人たち

Posted May. 18, 2002 09:53,   

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ばかな白人たち

マイケル・ムアー著、キム・ヒョンフ訳

336ページ、9500ウォン、木と森(出版社の名前のこと)

「ブッシュは大統領のポストを盗んだ人だ。現在の米政権は、堕落した『金持ちの子どもたち』とずるがしこい白人たちが占領していて、彼らは貧しい弱者たちを保護すると言いながら、欲深な大企業がこう血を搾り取ることを支援している。

この辛口の反米の主人公は、他でもなく米国の白人だ。著者はテレビシリーズ「テレビネーションでの冒険」でエミー賞を受賞したこともある著名作家であり映画プロデューサーだ。本は、米国人ならではのユーモアやウィット、毒舌で一杯だ。一見、繊細な知的な論理性もなく、美辞麗句も登場しない。ところが、この本が2月末発売後1カ月でオンライン図書販売サイト「アマゾン」を含むニューヨークタイムズ、ワシントンポストなど大手新聞のベストセラー集計で8週間1位にランクされたとは、近頃米国の普通の人たちが感じる米国社会もそう肯定的なことばかりではないという気がしてくる。

著者は、現在の米国社会の制度的不条理や政経ゆ着、それによる女性と黒人に対する深刻な人権じゅうりんを、誰が何のためにしているのかを語っている。著者の話では、著者の自己反省的視線が向いている先は一次的には米国と白人上流層だが、人間の住むどの社会にも存在する問題であることが読み取れる。

我々にとって米国的パラダイムは、一見「グローバル・スタンダード」に置き換えてしまいがちだが、実際は米国も外国人、女性、黒人に対する人権問題、人間が去勢された司法制度、企業と政治家の利益のための制度や政経ゆ着、環境破壊など我々と同じ問題で頭を痛めている。

「米政権は、金持ちの息子と誠実でありながら老かいな老人によって占拠され、巨大な経済はファイアーストーンのタイヤよりもっと速い速度で空気が抜けている。そして水道水は汚染されているし、オゾン層は巨大な穴を作って拡大し、多目的レジャー用車両はどんどん生産されている。」

著者はまず、論議の的となっているブッシュとゴアが戦った前回の大統領選挙をドキュメンタリーのように詳細に記録し、ブッシュを攻撃している。「純米国式クーデター」と言い、開票過程でどのようなことが起こったのか、ブッシュとブッシュ政権の官僚たちの過去の行いなどを明らかにしながら、彼らを「反乱軍」とまで言い切っている。そう指摘する中、彼らに許しを乞う機会をもう一度与え、それでもだめならば米国がイラクにしたのと同じように「レーザーショー」を見せてあげようと皮肉を言う。

著者は、米国の全ての制度が女性を差別していると言う。1920年以来、大統領、副大統領選挙を21回も行ったが、政党候補として女性が出たのは1度しかなかったし、議会で女性の占める議席はわずか13%、25歳〜34歳の間に離婚する女性の40%は貧しさにあえいでいると言われる。男性の平均収入を1ドルとするなら女性の収入は76セントで、女性が男性と同じ額の年収を上げるためには、16ヵ月働かなければならないと言う。

米国的毒舌とともに、敏感なテーマを明快に扱う作家の才能も感じられる本だ。



許文明 angelhuh@donga.com