米ワシントンポースト紙は17日「対テロ戦争以降、持続されてきたブッシュ大統領の政治的『無敵の気流』が大きく揺れている」とし「この問題は11月の中間選挙と2004年の大統領選挙で、共和党とブッシュ大統領に致命的な悪材料になるだろう」という見方を示した。
▲噴き出るマスコミの報道〓米CBSテレビは、ブッシュ大統領が、昨年9月11日の同時多発テロ事件が起きるわずか1カ月余前の8月6日、夏期休暇を過していたテキサス州・クロファード牧場で、中央情報局(CIA)から、オサマ・ビンラディン氏のテロ組織、アルカイダの飛行機テロの可能性についての報告を受けていたと、15日報じた。
CBSテレビは、また、連邦捜査局(FBI)のミューラー局長が昨年7月、アリゾナ州・フィニックスにいる、あるメンバーからビンラディン氏の追従者らが米国の航空学校でテロ活動に向けた訓練を受けているかも知れないので、これについて取り調べて欲しいというメモを渡されたが、これを無視したと伝えた。
ニューヨークタイムズ紙など他のマスコミも16日、ブッシュ政権がこうしたテロ情報を事前に入手した後、適切な措置をとったかどうかについて強い疑問の念を示した。
また、米ホワイトハウスは、ブッシュ大統領がハイジャック計画と関連した報告を受ける1カ月前の昨年7月5日、連邦航空局(FAA)など、およそ10の連邦政府機関の関係者らと緊急会議を開いたが、対策作りには失敗していたと、ワシントンポスト紙が17日伝えた。
これに先立ち、NBCテレビは、昨年9月11日の同時多発テロ事件が発生するわずか2日前の昨年9月9日、ブッシュ大統領の執務室にアルカイダ組織の粉砕に向けた「国家安保の大統領作戦命令」が上がってきたが、同大統領はテロが発生するまでこの計画に署名していなかったと報道したことから、波紋が広がっている。
▲沸き立つ議会と遺族〓ブッシュ大統領がテロの可能性について事前に多くの情報報告を受けていたという事実が伝えられることによって、米議会とテロ事件の犠牲者遺族らが沸き立っている。
米下院のゲパット院内総務は「我々はブッシュ大統領とホワイトハウスが、昨年9月11日の同時多発テロ事件へとつながった事態について、なにを把握しており、どのような措置をとったのかを糾明すべきだ」とし、議会レベルの真相調査を求めた。
上院のダッシュル院内総務も「ブッシュ大統領がテロ関連情報を事前に知っていたという事実を8カ間も隠してきた理由は何か」として、ブッシュ大統領にCIAの報告内容とFBIメンバーのメモを議会に提出するよう要求した。
同院内総務は、また、現在同テロ事件と関連して情報機関の怠慢はなかったか、情報委員会以外の別の聴聞会を開き、真相を明らかにすべきだとの見方を強調した。これについて、与党共和党のメケイン上院議員は、CIAとFBIが何故テロ情報で共助しなかったのかを解明しなければならないとし、真相糾明に向けた捜査に同意を表明した。
▲ホワイトハウスの是認と釈明〓ホワイトハウスのライス国家安保補佐官は16日午後、記者会見し、CBSテレビなどマスコミ各社の報道内容の大部分を認めた。同補佐官は、しかし「ブッシュ大統領が受けた報告内容は、具体的な情報のないものだったゆえに、それにもとづき、米国の航空システムを麻ひさせ得る措置を取ることはできなかった」と釈明した。
ブッシュ大統領のコメントは依然として出ていないが、同大統領とともに会議をした共和党の上院議員らは、「いまは政治の季節」だと述べ、野党民主党が11月の中間選挙を控えて宣伝を繰り広げていると判断している。
韓起興 eligius@donga.com