汗をかきながら体の熱量を消耗する「有酸素運動」と、ダンベルなどを使って特定部位の筋肉を鍛える「筋肉運動」。
多くの人は「運動」というと、この二つの運動を思い浮かべる。ところが、ここで抜けているものがある。それは「柔軟性運動」。
普通柔軟性運動の健康上の利点を見逃す人が多いが、柔軟性運動は前の二つの運動と並んで「運動の3拍子」となる。最近医学界では柔軟性運動のさまざまな効果に対する研究が活発化しているだけでなく、その重要性が強調されている。
柔軟性運動は関節炎と腰痛を予防したり、症状を緩和させる効果がある。いざというときに事故を予防するにも役立つ。また、有酸素や筋肉運動で筋肉やじん帯が損傷したりけがにつながることを防ぐにも効果がある。サラリーマンや受験生が時間を見つけて柔軟性運動をすると、知らぬうちに普段の動作や姿勢が効率的になり、疲労感も軽減する。
▲柔軟性とは〓以前、酢を大量にとると、骨が柔らかくなって体が柔軟になるといわれたことがある。人体の柔軟性に対する無知からのものだった。
医学的に柔軟性とは「身体の各関節が動く稼動範囲」をいい、関節の中の空間である関節腔が伸びやすく関節を成す筋肉、筋、じん帯などがしっかりするほど柔軟といえる。
サーカス団員やヨーガの高段者が普通の人の真似できない動作をすることは特殊な運動で関節の運動範囲を異常に増やしたからであって、酢など特別なものを食べたからではない。
人は若いほど柔軟といわれるが、普通10代が一番柔軟だ。というのは、このときの筋肉が一番伸びやすいからだ。また、一日中では、昼がもっとも柔軟といわれる。朝は筋肉が収縮しているし、夕方は筋肉が疲れている一方、昼は筋肉を動かすことによってある程度のストレッチング効果がみられるからだ。柔軟性の程度は上体を前に倒す動作でチェックできる。この動作から身体のもっとも重要な関節である脊椎とお尻の関節の関節範囲をチェックすることができる。
普通足の後ろの筋肉が発達するほど柔軟性の数値があがる。
▲柔軟性を高めるためには=運動を通じて筋肉、筋などを鍛えることが最善の方法だ。ストレッチングは単純な準備体操ではなく代表的な柔軟性運動だ。ストレッチングは関節範囲を最大限広くするものであり、有酸素運動や筋肉運動の前後に必ず実施しなければならない。通常運動前は5〜10分、後は3〜5分がいい。
ストレッチングはさらに疲れの予防や軽減にも効果がある。サラリーマンや受験生、ドライバーの場合、少なくとも1時間単位でストレッチングをすると、元気が出てくることをすぐ感じることができる。
ストレッチングの各動作をするには、身体が完全に伸びた状態で6〜20秒停止しなければならない。しかし、姿勢を元に戻すときに反動を加えてはいけない。筋肉や筋を損傷する恐れがあるからだ。
最近国内で盛んに行われているヨーガはストレッチングの集合運動で、精神の安定にも効果がある。禅、丹田呼吸なども柔軟性をアップさせ、精神の安定、気の強化などに役立つ。
(アドバイス=三星ソウル病院スポーツ医学科 パク・ウォンハ教授、ソウル牙山病院スポーツ健康医学センター チン・ヨンス所長)
李成柱 stein33@donga.com