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[オピニオン]愛国心ファッション

Posted June. 17, 2002 21:53,   

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韓国がポルトガルを破ってベスト16入りを決めた夜、50万もの人々が押し寄せたソウル世宗路(セジョンロ)一帯は、愛国心がうねる海のようだった。こみ上げる感激を抑え切れない若者らは、夜更けまで肩を組んで喜び合った。

赤いTシャツを着た若者は、会う人ごとに手をたたいて祝い合った。列を成して行進する警察官までも、警棒を振って「テ〜ハンミングク」と叫んだ。

サッカー・ワールドカップ(W杯)は、国家間の銃声のない戦争のようなムードを高め、民族主義と愛国心をひときわ刺激した。

米国とメキシコの16強戦は、メキシコ人にとって一種の代理戦争であった。メキシコは1848年、米国との戦争で敗れ、カリフォルニアやテキサス州など、領土の半分以上を奪われた。フォックス・メキシコ大統領は閣僚会議を召集して試合を視聴し、米国に隠れ住むメキシコ不法移民300万人も、この試合を見た。米国のずば抜けた経済力と軍事力に押されていたメキシコ人は、米国とのサッカーの試合だけは決して負けられないという悲壮な覚悟で臨んだ。敗退の結果となり、国民的挫折感は大きいだろう。W杯にはサッカー以上の何かがあるのだ。

今日、韓国チームがイタリアを破ってベスト8に進出する事態になれば、どんなことが起きるだろうか。世界1位のフランスチームが1ゴールも入れられず、16強進出に失敗して早くも「家に・・・」帰ったのを見ると、国際サッカー連盟(FIFA)ランキングというものは、相対チームの戦力を客観的に比べる重要な資料であるには違いないが、絶対的なものではない。世界5位のポルトガルを自国に帰らせたのだから、6位の前で怖気づくこともないだろう。

もし韓国チームが8強、4強入りして、上岩(サンアム)ワールドカップ競技場で行なわれる準決勝戦に進めば、その後の事態は想像を絶する。韓国人の喜びは、サンアム競技場前の200mの噴水よりも高くそびえ、愛国心が津波のように押し寄せて半島の南を覆うだろう。日帝植民地支配を体験した年老いた人々は、これまでの試合結果だけでも、光復(クァンブク、独立)以来最高の感動であると表現している。

しかし、6月の興奮が去った後、7月からは何をもって暮らすのか。早くも、W杯が終った後の空虚感を心配する声が多い。

韓国人は簡単に熱くなって、早く冷める洋銀製の器のようだという。W杯が終れば、国内Kリーグの選手らは、またガラガラのスタンドのなかで試合をすることになるだろう。

W杯で、韓国チームが勝つ時は興奮して、すぐ冷めてしまうような愛国心なら、それはファッション以上の何ものでもない。

ソウル世宗路に集まった人々は、ごみを集める市民意識を見せた。しかし、市内の一部の地域では、道路交通をマヒさせ、止まっているバスや乗用車の屋根やボンネットに乗リ上がるフーリガンのような行為に出た。

このような状況で、もし16強進出に挫折していたなら、ロシアのような事態が起こったかもしれない。フランスチームの予選脱落で見たように、勝負の世界に永遠の勝者はいない。負けるために勝つという言葉は、絶妙な反語法である。

W杯の試合で「テ〜ハンミングク」と声をからせて叫ぶ若者が、今回の地方選挙でどれほど投票しただろうか。大統領、国会議員、地方選挙のすべてにおいて、20代の投票率が一番低い。40代以上の世代は、街に出て熱情的な愛国心は表出しないものの、地方や国の指導者を選ぶ選挙が近づくと、若者以上に悩んで投票に積極的に参加する。

国民を一つにした熱情が、短い生命のファッションのように冷たく冷めてしまうことは、あまりにも空しい。光復以来最高潮という国民的熱気のエネルギーが、共同体への持続的な愛になって、政治、経済などの他の部分にも拡散してこそ、一時のファッションを越えて真の愛国心としてグレードアップすることができるのだ。

黃鎬澤(ファン・ホテク)論説委員