Go to contents

[オピニオン]「盧武鉉プログラム」に一番目に入れるべきもの

[オピニオン]「盧武鉉プログラム」に一番目に入れるべきもの

Posted June. 22, 2002 01:55,   

한국어

2000年4月13日の総選挙が終って一週間過ぎた後、ソウル仁寺洞(インサドン)のあるレストランで会った盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は、濃いブルーのジーンズ姿だった。その頃、同氏を好むネチズンらは同氏のことを「バカな盧武鉉」と呼んでいた。落ちることに決まっていたにもかかわらず、与党民主党の看板を掲げて釜山市(プサンシ)から出馬することに固執していたから「バカ」ではないかということだった。もちろん、その「バカ」ということには、地域感情に抵抗する盧武鉉への愛情が溶け込んでいて、筆者もやはりそうした同氏の敗北を真心から慰労した。

韓国伝統の酒ドンドンジュを飲みながら、私たちは巨大な地域感情について話し合った。同氏は3金(金大統領、金泳三前大統領、金鍾泌自民連総裁)の時代が終るからと言って、地域感情が即座になくなったりはしないだろうと話していた。そう話しながら、地域感情を解消していくには、分裂のリーダーシップではなく統合のリーダーシップが必ず必要とされると語った。同氏があの時、統合のリーダーシップを見せられる適任者が他ではなく「盧武鉉」だと話していたかどうかははっきり覚えていない。たとえ、同氏がそのように述べたとしても筆者が心して聞いていたかは疑問だ。

そう話していた同氏が2年過ぎた後、民主党の大統領候補になった。光州(クァンジュ)で吹き始めた「盧風」の気勢は天を突くようなものだった。昨秋同氏に再会した時、同氏は自身が本格的に前面に出ると、3カ月以内に浮上できると語った。筆者はその時も首をかしげていた。むしろ筆者はあまり短い時間で浮上するのが必ずしも良いことではないだろうと話した。同氏の「目立った発言が与える不安定性」について話すことによって、同氏をやや気まずくさせたかも知れない。しかし、同氏は、同氏の話どおり一気に浮上し、筆者は同氏が2年前、仁寺洞のレストランで述べていた統合のリーダーシップを思い浮かべた。

ところが、2カ月少し過ぎた時点で「盧風」の気勢が急速にしずまった。野党ハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)大統領候補との支持率の推移も大幅に逆転された。辛うじて再信任の波紋は収拾できたものの、8月8日の再選・補欠選挙でも6月13日の統一地方選挙でのように惨敗することになれば、盧候補自らが提案していた「大統領候補選出に向けた再度の民主党内予備選」が現実化するかも知れない。同氏としては実に背水の陣を敷いたわけだ。

統一地方選挙で負けたからと言って、国民の支持による党内予備選で選んだ大統領候補をすぐに取り替えるとは話にならないという、民主党刷新グループの考えにも一理ある。だと言って、選挙の惨敗に誰一人も責任を取らずその場を切り抜けようとするのも見苦しい。韓和甲(ハン・ファガブ)代表としては悔しい気持ちでならないだろうが、少なくとも党代表は政治的責任を負って退くべきだったと思われる。

アンケート調査の結果からも分ったように、今回の統一地方選挙で民主党が惨敗した第一の原因は、大統領子息らの不正事件をはじめとする現政権の腐敗だ。しかし、民主党も同じくそうした事実から自由になれない。大統領が離党したから、党は汚職事件などとは関係ないではないかという論理は、ひとことで言って馬鹿馬鹿しい話だ。国民が思う民主党は依然として現政権と同一体である。もっとも、ある時は権力とからんだ不正事件をかばうのに汲々としていたのに、今になっては他人事だという態度を取っても、憎らしく思われるだけだ。

盧候補の支持率が大きく落ちたのは、統一地方選挙での惨敗の余波なのか、それとも同氏の人気急落が地方選に否定的な影響を及ぼしたものなのか。いずれも同時にかみ合っていると考えるのが正しいだろう。

その原因の一つとして「言葉の不安定性」を考えてみよう。 盧候補は、口語体とそれが活字化した時との差を真剣に認識できなかった模様だ。たとえば、大衆演説で「南北(韓国と北朝鮮)対話さえ実現できれば残りのものは『ケンパン(めちゃくちゃの激しい韓国語表現)』になってもいい」と話した時、大衆はそれを笑って聞き流すことができる。しかし、いざ「ケンパン」が活字化すれば、そのニュアンスは変わる。反語法の話術として受け入れるよりは、眉をひそめるようになる。しかも、そうした品のない発言が大統領選に出馬したいという人物から出たとするならば、失望を与えるに決まっている。

権威的かつ偽善的な政治言語も聞き辛いが、行き過ぎた発言でアピールしようとする軽さなどでは、統合のリーダーシップを期待し難い。盧候補はこれから、その点について深刻に考えなければならない。「盧武鉉プログラム」の一番目の順位にあげるべき項目だ。韓国サッカーの「8強神話」を実現させたヒディンク監督の語録をのぞいてみるのも良かろう。

全津雨(チョン・ジンウ)論説委員