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[オピニオン]憲法の目

Posted June. 30, 2002 23:00,   

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苦しかった20世紀の歳月を一気に振り払うように、21世紀初めに韓国は、ワールドカップ(W杯)祭り通じて韓国を再確認し、驚きとともに共同体の実相を経験した。韓国人としての自負心を高め、高い秩序意識を賞賛し、経済4強を口にして文化4強を語りながら、革命とも言えるほどに韓国自身が変わりつつある。

しかし一方で、W杯の熱気に埋もれて地方選挙が中途半端に行なわれ、各種ゲートへの捜査が関心から遠のいたように、弱者や小数の人権侵害に対しては論議の進展はなく、政界はただW杯で表出した国民の熱気をどうすれば自分たちの政治目的に活かせるかだけに没頭している。なかでも大統領の親戚の不正に関する根本的な防止策を模索せずに、大統領重任制や議院内閣制という改憲の論議だけが飛び出している。大統領重任制になれば、あるいは議院内閣制にさえなれば、レームダックがなくなり、権力の不正もなくなるということか。

重要なことは、政府スタイルの問題ではなく、制度運用の問題である。制度運用の過程で、どうすればうまくいくのか悩まなければならない。制度そのものを直すことは適切ではない。韓国特有の大統領単任制は、すでに韓国で強い歴史性を帯びている。

韓国の大統領制の性格は、帝王的大統領制という言葉で適切に表現されるが、大統領自体が「選出された帝王」であるという点で、大統領の権限が帝王的に行使される可能性はすでに内包されていると言っても誤りではない。にもかかわらず、大統領制を初めて採択した米国で大統領制が成功し、他の国で失敗したと評価される理由のひとつは、まさに大統領の権限行使に対する政治的・法的制限装置が十分に機能しているかどうかの違いにある。

国家権力の核心的内容は、人事と財政の二つの領域だ。権力分立の実質も、まさにこの人事と財政の分離および独立を意味する。韓国大統領の権限はどうか。少なくとも大統領の人事権に関する限り、米国の大統領より韓国の大統領の権限がより強力だ。なぜなら、韓国憲法第78条に「大統領は、憲法と法律が定めるところにより、公務員を任免する」と規定されており、人事に関する大統領の権限は、憲法上規定されたいくつかの場合を除いては、ほとんど「無所不為」(できないことはない)だからだ。大統領が任命可能な職位が数千を数えるというから、まさに専制君主と大差がない。政府省庁の長は言うまでもなく、公企業の長までも、関連法律に従って大統領が任意に任免することができる。これが天下り人事を横行させる原因だ。米国の場合、各州の政府で公務員の任命が別に行なわれ、連邦政府も主要公務員と下級公務員に分かれ、連邦議会の制限が可能なようになっている。また、連邦大法院の判例を通じて、専門的な独立規制委員会を認める方法で、大統領の人事権を制限している。

これまで韓国で現われた各種不正は、すべて大統領の人事権で始まった。人事に関する最終的な決定権を大統領が掌握し、大統領をとりまく非公式権力集団が、各領域の最終的政策決定者である国家機関の長に、その影響力を行使できることを口実に不正を行なったのだ。高位公職者の命を握る大統領とその周辺の権力集団に、果敢に立ち向かって抵抗することを求めることは期待しがたい。

人事権を含め、大統領の権限を制限する方法は何か。直接憲法を改正しなくても、現在の憲法でも十分に論議が可能だ。憲法規定に抵触せずに、大統領の権限を制限できる方法はいくつもある。

政界は、ただ大統領選挙だけにしがみついて、どうすれば政権を獲得できるかだけに没頭せずに、「無所不為」の大統領の権限を制限する方法を積極的に研究し、具現する政治的努力をしなければならない。W杯を通じて表出した国民の水準に合うように、政界も変わらなければならない時だ。

イ・ホンファン、景園(キョンウォン)大学教授(憲法学)