29日西海(ソヘ)で発生した北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の「蛮行」に対する政府の対応が、どこか怪しい。この度の北朝鮮の武力挑発は、前途有望な24人もの若者に死亡または怪我を負わせた、重大な事態である。さらに北朝鮮は、W杯の終了間際を狙った「意図的」な行為で、韓国民の公憤を買っている。このような非常事態に直面して、その余波をできる限り減らそうとしているかのような政府関係者の言動が続出するのは、非常に遺憾であると言わざるを得ない。
大統領外交安保首席の任晟準(イム・ソンジュン)氏は29日「1999年の銃撃戦の際にも包容政策は一貫して維持された」と語った。今回も同様であろうことを強く示唆する発言だ。一方、統一部は「民間レベルの南北交流協力は、予定どおり進めることにした」ことを明らかにした。金剛山(クムガンサン)観光事業と多数の民間団体による様々な対北朝鮮支援事業は、今回の事態に関わらず続けるという意思表明である。
私たちは、政府関係者らによるこうした発言が、国民感情とはかなりかけ離れたものであるうえ、政策的にも誤っていると考えている。政府は、これまで包容政策を掲げ、北側に対しあらゆる経済的、政治的支援を提供してきた。しかし、その結果は先日の武力挑発であった。北朝鮮は、この間全く変わっていないということが、この度確認されたのである。このような時にあって、外交安保首席とあろう者の「包容政策の維持」云々は、果たして適切であったのかと問いかけてみたいものだ。政府一角では、韓国が今回の事態について強硬対応に出る場合、外国人投資が萎縮することを懸念する声もあったということだが、これまた状況を糊塗する主張に過ぎない。
今回の事態について、北朝鮮の公式謝罪と再発防止への約束、さらに責任者の処罰など、国民が納得できるような措置を取るまで、政府は全ての南北交流を暫定的に中断しなければならない。金剛山観光も、当然中断されるべきだ。これは、北朝鮮に提供する様々な経済的恩恵を断つという意味もあるが、政府の要求に力を持たせるという意味でも必要なことだ。民間交流はこれまで同様に続けながら、一方で謝罪を求めるとすれば、北朝鮮が果たして真剣に受け止めるだろうか。
今回の事態にもかかわらず、金大中大統領は昨日、予定どおり日本を訪問した。一方、政府は2日に予定されている、W杯の成功を祝う街頭フェスティバルについて、未だ可否の反応がない。今回の事態で殉国した兵士の遺族が「歌って踊る」祝賀行事をどう思うか、その気持ちを汲み取ることができたとすれば、政府はとっくに同計画に対する修正案を打ち出すべきだった。
政府は、今回の事態をうやむやに凌ごうとしてはならない。内部的にずさんな対北朝鮮警戒態勢を見直すことから、北朝鮮に対し強硬なメッセージを送ることに至るまで、私たちは政府の一挙手一投足をつぶさに見守るつもりだ。