海外出張が多い米国の企業幹部は、最近「拉致非常状態」にあるとニューヨークタイムズ紙が2日報道した。 世界の各地で拉致、テロ、強奪事件などが連日のようにマスコミを通じて報道されているからだ。
カナダのプラスチック・メーカーの「ノバ・ケミカルス」の海外営業部長(54)は、10年間欧州とアジア各地に出張しているが、最近のように安全に神経を使ったことはなかった。
彼は相対的に安全なこれらの地域ですら、事前に計画にした通りに行動する。
空港に到着し、あらかじめ予約したタクシーの運転手に会い、ホテルに向かう。
ホテルでは警備員の護衛を受けながら、部屋まで行って、保安状態が確認されたリムジン車両を利用して外出する。
レストランには絶対一人で行かない。 外出する時は、素朴な服装をし、オメガの腕時計は安いスワッチ時計に変える。
最近、拉致とテロに対応した保険商品がよく売れているのは、こういう雰囲気を反映していると言える。 米国の代表的な保険会社のAIG保険などは拉致された時、交渉専門家を派遣し、身代金を払う保険商品の販売が急増しているという。
一部の保険会社は、ハイジャック、強盗なども補償する「拉致パッケージ」商品も市場に出している。
パキスタン、フィリピンなどアジアでも拉致事件が発生するが、専門家らは最も危険な地域として、コロンビア、ベネズエラ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジルなどを選ぶ。
これらの国では夜遅い時間にレストラから出る酒に酔った海外出張者を狙った「急行誘拐(express kidnapping)」が多く発生している。
誘拐犯は拉致した人を車に乗せ、近くの自動現金預け払い機に連れて行き、クレジットカードを奪い取った後、最大限金を引き出す。 彼らは普通、午前零時になるのを待ってもう一度金を引き出す。
一部の企業は、こういう事件を防止するために、海外出張者に「誘拐犯を避ける方法」などの研修を実施してほしいと警備会社に依頼する所もある。 警備会社では研修以外にも万一の事態に備え、出張前の旅行経路と飛行時間を変えるようにすすめることもある。
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