西海(ソヘ)での砲撃戦当時、わが軍の対応に関する具体的な状況が続々と明るみに出てから、一部の軍首脳部の主張に間違いがあったことが判明し、もう一度ショックを与えている。そのような言動は、軍当局の不正確さと意図性がうかがえる情報に接した国民に、不必要な不安感を抱かせるものとして憂慮せざるを得ない。
一昨日、国防部は、交戦発生後、わが哨戒艦2隻が現場に出動すると、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のスティックスミサイルのレーダーが稼動したと明らかにした。これは、わが海軍が逃走していた北朝鮮警備艇を撃沈させようとしていたならば、交戦が拡大される可能性が高かったことを強調するため、国防部が示した一種の「状況証拠」だった。
しかし、スティックスミサイルのレーダーは、交戦が終わる2分前から動きはじめていたことが、のちに明らかになった。北朝鮮側のシルクウォーム地対艦ミサイルのレーダーも、やはり交戦が終了して30分後に作動していたことが判明した。これは、北朝鮮側に戦場を拡大させる意志があったとする国防部側の主張が誇張されていたことを裏付けるもので、国民の間に不安感を広げる結果のみをもたらした。
軍の指揮部が、交戦での対応で状況判断を誤り、哨戒艦の現場到着が遅れたほか、射撃中止命令が早すぎて北朝鮮警備艇を撃沈させることに失敗したことも明るみに出た。にもかかわらず、軍当局は、哨戒艦が出動したとき、「漁民たちの網をう回するのに時間がかかった」「初期の戦況報告が間違っていた」などと、責任逃れの弁明にきゅうきゅうとしている印象を与えている。
果たして、こういう態度が軍当局のあるべき姿なのか問わざるを得ない。これまでの軍当局の態度から、間もなく発表される合同参謀本部の調査結果を、どこまで信頼できるのだろうか、疑問だ。
今回の事態で明らかになった諸問題を調べることは、今後、同様な事態が再発したとき、同じ失敗を繰り返さないようにするための対策づくりが目的だ。したがって、軍首脳部は、今回の事態で浮き彫りになった問題点を究明する上で、ひたすら真実だけを語るべきだ。目の前の責任から逃れるためにウソを述べるのは、未来の安保に大きな穴を開ける行為だ。