シラク仏大統領の経歴は華やかだ。5月の再選に成功したことから、無事に任期を終えれば、なんと12年間も大統領に在任することになる。昨年の改憲で大統領の任期が7年から5年にならなかったら、前任のミッテラン大統領のように14年の在任記録を立てるところだった。シラク大統領は、パリ市長に連続3回当選し、首相も歴任した。彼が今後5年間、大統領職をうまく遂行すれば、ドゴールにも劣らないフランス第5共和国の最高政治指導者という栄誉を受けるに値する。
シラク大統領の成功は「ドゴールに仕える」ことから始まった。彼は67年にドゴール派候補として出馬して初めて下院議員になり、76年には新ドゴール主義を唱えて共和国連合(RPR)を結党し、右派最高の指導者として浮上した。ドゴールの後継者というのが彼の政治的資産であるが、すらりとした外見と、卓越した演説能力など、政治家としての個人の魅力がなかったら、今の栄光を享受することはできなかっただろう。シラク大統領は、形勢が不利な時は身を低くして機会を待つ、老かいな処世術にもたけていた。大統領選挙でミッテランに2度も負けたが、その下で首相を務めながら栄光の日を待ったのが、そのいい例である。
シラク大統領には、もう一つある。それは、まさに幸運である。彼はし烈な接戦になると予想された前の大統領選挙で、意外にも難なく勝利を収めた。1次投票では、左派候補の乱立で、手ごわいライバルだったジョスパン社会党候補が脱落し、決選投票では極右派候補の当選を防ぐために、左派有権者まで一団となって彼を支持したことから、余裕で再選に成功した。続いて実施された総選挙で右派が圧勝すると、シラク大統領には「フランスで最も運のいい政治家」という名が付けられた。
極右派の青年が、フランス革命記念日である14日、パリ市内のシャンゼリゼ通りで行なわれた軍事パレードで、シラク大統領を暗殺しようとして失敗した事件も、彼の運と無関係ではなさそうだ。毎年7月14日になれば、パレードを見物するために数十万人の観客がシャンゼリゼ通りに押し寄せる。多くの警察が警備にあたるが、街路樹に上って見る観客まで、一人ひとり監視することは不可能だ。犯人は、わずか40〜50m離れた所でシラク大統領に向けて小銃を発射したという。指導者が能力に加え幸運まで兼ね備えれば、支持しない国民はいないだろう。大統領の幸運が、まさに国家と国民の幸運なのだから。
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