Go to contents

[オピニオン]赦免

Posted July. 21, 2002 21:48,   

한국어

「恩赦のない法は違法だ」という法のことわざがある。この言葉は、赦免が法の厳しさに対する均衡軸になり得るという意味だ。赦免は、法とは合わないような言葉、すなわち和解、許し、寛容を制度的に貫徹する手段である。赦免は、法を人間らしく温かくするという点で、歓迎に値する言葉だ。しかし、君臣が厳格に区別された君主主権時代には当然のことと受け取られた赦免も、万人が平等な民主時代には、恩を受けても不満に思う国民が多くなったという点で「施す者」も難しくなった。

◆韓国でも、君主が施しを与えた歴史は非常に古い。「三国史記」をみると、新羅の文武王9年に、三国統一を記念して大赦免を断行した記録がある。そして1034年に即位した高麗の定宗は、1035年と1036年に大赦令を実施した。その理由は、地震や洪水の被害による民心回復と政治的安定だったという。これには死刑囚も含まれ、杖刑に減刑して島流しにしたというから、当時としてはかなり型破りな措置だったといえる。

◆このような「記念赦免」は現代史にも引き継がれ、建国後これまで約80回に及ぶ大小の赦免や復権が行われた。一番初めに実施されたのが1948年9月の政府樹立を記念した一般赦免だった。歴代政権のなかでは、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権が、20回を超える最多赦免記録を持っている。これは全斗煥政権が「寛容な」政治をしたからではなく、非正常的な方法で政権を握って維持したことで量産された時局事犯(反政府または政府批判行為)を解決するための仕方のない手段だったに過ぎない。

◆金大中(キム・デジュン)政権は、1998年に大統領就任の記念として、史上最大規模の532万人に対する赦免措置を行なった。そして今回、再び飲酒運転やスピード違反などの交通事犯481万人の罰点を帳消しにする「大赦令」を下した。7月からは、クレジットカード会社も信用不良者を「赦免」するための個人ワークアウト(信用回復支援)に乗り出すというから、「テ〜ハンミングク」は今や「寛容」においても世界を驚かせるほどだ。他人の「幸福」に嫉妬することはない。しかし、法は守らなければならないと固く信じ、子どもにもそう教えてきた善良な市民に対する報償を、政府が考えたことがあるのだろうか。法を守った者と法を破った者との違いがなくなれば、人々は法を守るという動機を見いだせないだろう。