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「韓国への愛、本に託して伝えます」 故日本美術史学者の蔵書を韓国国立博に寄贈

「韓国への愛、本に託して伝えます」 故日本美術史学者の蔵書を韓国国立博に寄贈

Posted July. 31, 2002 22:20,   

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昨年12月31日、49歳という、決して長くはない生涯を閉じた日本の代表的な美術史学者の故・千野香織(ちの・かおり、写真)さん。東京にある学習院大学の文学部教授だった彼女の大学研究室の入口には、いつも韓国伝統の結び紐(メドゥプ)が掛けてあった。それほど韓国を愛し、韓国との絆を大事にしていたのだ。

彼女がこの世を去ってから7ヵ月が過ぎた。彼女の残した絆の一端が、韓国人を感動させている。

彼女の遺族と教授仲間が、このほど故人の蔵書およそ7300冊を、韓国の国立中央博物館に寄贈したのだ。中央博物館は31日、これらの蔵書を公開した。今回寄贈された7300冊余りの蔵書は、故人の所蔵していた本の全部だ。日本の美術、歴史、文学をはじめ、中国美術、仏教美術関連の書物である。

蔵書を寄贈するというアイデアを出したのは、彼女の教授仲間たちだった。今年の初め、故人の追悼事業を構想していた教授仲間たちは、故人が韓日間の文化交流に多大なる努力を傾けてきたことを称え、彼女の本を韓国の国立中央博物館に寄贈しすることで意見が一致した。この知らせを聞いた千野教授の兄の中村光一(なかむら・こういち)氏も、快く承諾してくれた。

故人と韓国との絆は、格別なものがある。故人は韓国の文化に関心が多く、京畿道広州(キョンギド・クァンジュ)にある元従軍慰安婦のお年寄りたちの療養所「ナヌムの家(分かちあう家の意)」にも、よく訪ねていた。中央博物館側は「故人のこのような絆が、彼女の亡き後も蔵書の寄贈に繋がったように思う」としながら、「故人の兄が『韓国に渡った本とともに、千野の魂も韓国で甦ってもらいたい』と語った」と伝えた。

故人は、日本の中世絵画史の権威であり、日本の美術史研究においてジェンダー(性)の概念を取り入れ、学会の注目を浴びた。とりわけ、女性問題に関心が多かった進歩学者として高い評価を受けた。京都大学の美学美術史学科を出て、東京大学の美術史学科博士課程を修了。東京国立博物館の学芸研究員を経て、1989年から学習院大学の教授として在職し、米国のハーバード大学とコロンビア大学で客員研究員を務めた経験もある。

中央博物館は、2005年開館をメドに、ソウル龍山(ヨンサン)に新築される国立中央博物館に「千野文庫」(仮称)を設け、寄贈本を管理する予定だ。博物館側は「龍山に建てられる新しい博物館の日本室に展示される一方、日本の美術史研究に向けた基礎資料として活用される予定」だと語った。中央博物館は、故人と故人の兄、蔵書寄贈の過程で尽力を惜しまなかった学習院大学の小林忠(こばやし・ただし)教授に、政府レベルの褒賞を推薦する計画だとしている。



李光杓 kplee@donga.com