「米経済はダブルるディップ(二番底)状態に陥るだろうか」
最近、大規模な会計不正事件、企業業績の悪化、急激なドル安の進みなど悪材料が重なり、米経済が再びリセッション(景気後退)に陥るだろうという、いわゆる「ダブルディップ」リセッションを懸念する声が高まっている。こうした専門家らのダブルディップへの警告を受けて、証券市場の失速が加速化しており、さらなる利下げの可能性も強まっている。ニューヨーク証券市場の3大指数は5日、一斉に3%以上下落し3日連続の急落ぶりを見せた。
▲投資家の信頼喪失〓米国経済は昨年4月、インターネット熱風が消滅するとともに、第2四半期と第3四半期連続しマイナス成長になる低迷に陥った。昨年9月11日の米同時多発テロ事件による経済的被害を克服し、昨年第4四半期に成長基調に転じた米経済は今年第2四半期から再び悪化する徴候を見せている。
米国経済が再び揺れるようになったのは、製造・消費・雇用などを示す客観的な経済指標が著しく悪くなったためというよりは、会計不正事件で投資家らが市場に信頼を置かなくなったからだというのが大方の見方だ。すなわち、株価の下落が景気低迷の引き金となったというもの。
これまでの12回にわたる株価下落のうち、8回が景気低迷につながっている点を考え合わせると、最近の株価の急落には決して簡単に見過ごせないものがあると、専門家たちは見ている。
米国経済に対して最も悲観的な見方を示すモルガンスタンレー証券社の首席エコノミスト、スチブン・ロッチ氏は、4日「ダブルディップ状態を招く可能性は70%に上る」とし、「米国民が証券市場で稼ぐ金が減ったことによって消費が減りつつあり、これを受けて景気低迷が加速化しつつある」と指摘した。
ロイター通信が4日、ウォールストリートの金融大手20社を対象に調べたところによると、2週前は20%が米国経済のダブルディップを予想していたが、最近は35〜40%に増えた。
この調査に応じた金融機関は、景気低迷を防ぐためには何よりも投資家らが再び戻ってこれるよう市場の信頼性を回復することが肝要だと指摘した。そのためには、もっとも会計不正と経営家たちの非倫理的な経営を阻止できる法律制定が求められるとしている。
▲デフレーの危険〓しかし、一方では米国経済が悪化してはいるものの、ダブルディップ状態に進むほど深刻な状況ではないとの見方も出ている。消費がい縮しデフレーションに拡大することによって、米国経済が日本経済に二の舞を踏むだろうという見方は時期尚早だという。
モルガンスタンレーのリチャード・バーナ研究員は、「米国には、資本と労働者市場が日本よりはるかに柔軟という強みがある」とし、「低い税金と金利、財政支出の拡大など諸政策の後押しされて、日本式のデフレーションは避けられるはずだ」との見通しを述べた。
鄭美京 mickey@donga.com