国税庁が特別税務調査制度の廃止を求める経済界に対し、「廃止不可」の立場を公式に表明した。国税庁は13日、国会財政経済委員会所属の鄭義和(チョン・イファ、野党ハンナラ党)議員に提出した資料を通じて、「資料不在の取り引きなど、後進的な取り引き慣行と構造的な脱税が行われている税政環境を考慮すれば、特別税務調査の廃止は次期尚早だ」と主張した。
さらに「特別調査は主に個人業者や不動産投機など、脱税に走りやすい所得者と偽りの取り引きなどを通じ構造的かつ慢性的に税逃れを犯す納税者に限って、制限的に実施している」とし、「今後、反則調査を漸進的に拡大することで、特別調査は最低限に抑える計画だ」と付け加えた。
しかし経済界はこうした国税庁の主張を受け入れられないと反論している。特別税務調査が政治的な思惑を達成するための手段として悪用・乱用されている現状から、特別税務調査制度そのものを廃止しない限り、自由な企業活動は制限されるしかないとしている。税務調査を通じて、当座は巨額の税金を取り立てることができるかも知れないが、健全な納税の意欲をくじきやすく、百害あって一理なしという反論も根強い。
A経済研究所の関係者は、「とくに現政権に入って、特別税務調査が頻繁に行われ、納税者の基本権が侵害される事例が数多く発生している。政権が税務調査を政治的な思惑で悪用できないよう、現行の特別税務調査制度を廃止するか、または大幅に改善しなければならない」と指摘した。
全国経済人連合会は、先月とりまとめた報告書を通じて、「国税庁の税務調査が、選挙資金集めや医薬分業制度の定着など、政治的な思惑のためし意的に運用される場合が多い。とくに特別税務調査は、基本権人権侵害の余地が多く、必ず廃止されるべきだ」としている。さらに「手続き上のほころび」がある税務調査は違法とみなし、納税者が拒否できる枠組みが整わなければならず、不当な調査による課税処分は取り消しあるいは無効と規定すべきだと主張した。
特別税務調査は、税務情報資料などを通じて具体的な税漏れの疑いがもたれたうえ、通常の調査方法では明かし難いと判断される際に実施される調査。事前通知の省略、証拠書類の任意提示が求められることから、一般の税務調査とは異なる。
朴庭勳 sunshade@donga.com